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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「ピカチュウ」が話題だが…「ジーコ=やせっぽち」は間違い? ロナウジーニョとロナウドの違いって?〈ブラジル人選手ニックネームのナゾ〉
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byJMPA
posted2022/07/23 17:02
日本でも愛されたロナウジーニョとロナウド。2人の愛称って何が違う?
ブラジル代表でキャプテンを務めて1994年W杯で優勝し、1995年から98年までジュビロ磐田で活躍した“闘将”ドゥンガのフルネームは、カルロス・カエターノ・ブレドルン・ベーリだ。
子供の頃、非常に小柄だったので、親戚のおじさんから童話「白雪姫」に出てくる小人たちの末っ子(ドゥンガ)のニックネームを付けられた。以来、家族、友人からこう呼ばれるようになった。
その後、身長は人並み以上になったわけだから「俺は小人じゃない」と怒ってもおかしくない。しかし、あのこわもてのドゥンガが、子供時代につけられたこのあだ名を何の問題もなく受け入れている。ブラジル人らしい鷹揚さ、と言っていいだろう。
ブラジル代表監督の由来が少々ややこしい
現在のブラジル代表監督チッチのフルネームは、アデノール・レオナルド・バッチ。彼の場合は、ニックネームの由来が少々ややこしい。
元ブラジル代表監督のルイス・フェリペ・スコラーリが、選手生活の晩年、ブラジル南部の高校のチームを指導していた。そのチームにアデノールがおり、チッチと呼ばれる別の選手と一緒に地元のプロクラブの入団テストを受けさせた。その際、スコラーリはアデノールのことを誤ってチッチと紹介してしまい、以後、それが通名になった。
ペレ、リベリーノらの名手と共に1970年W杯を制覇したCFトスタンのニックネームの由来も、少し変わっている。
トスタンとは、「全く価値がなくなった昔のコイン」という意味だ。子供の頃、小さくて痩せており、またチームには彼より上手い選手がいたので、冗談半分にこう呼ばれるようになった。
良い意味ではないから、本来なら本人が強く抗議するところだろう。しかし、彼の場合も周囲の人から親しみを込めてこう呼ばれているうちに気にしなくなったという。
カカとジーコは“本名と少し関連あり”パターン
ニックネームは、本名と多少の関連がある場合もある。
たとえば、2001年から14年までサンパウロ、ACミラン、レアル・マドリー、そしてブラジル代表でも活躍したMFカカ。彼のファーストネームはリカルドだが、幼かった弟が正しく発音できず、こう呼んだ。それを家族が面白がって真似をするようになり、周囲の人にも広がった。
ジーコもこの範疇に入る。