甲子園の風BACK NUMBER
熊本を席巻“あの秀岳館旋風”の影響…ライバル九州学院の監督&OB「オールジャパンみたいなチームだった」「3人一組でデータ班を作って…」
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byYuki Kashimoto
posted2022/07/13 11:00
ヤクルト村上宗隆の母校で弟の慶太(中央)が4番に座る九州学院は2015年以来の甲子園を狙う
「ウォーミングアップやキャッチボールなど基本練習を大事にするところは坂井先生の時と全く変えていません。野球部員がいる3年生のアスリートクラスの担任もしているので、選手たちは教室の方も、気が抜けない時間だと思いますよ」と笑う。
九州学院は玉竜旗9度優勝の剣道を筆頭に、柔道、陸上、バスケット、自転車、ハンドボール、水泳、空手など。11もの部活が過去3年以内で全国大会に出場している。野球部主将の園村慧人(けいと)は「剣道部と合同練習をしたとき、同じ『全国制覇したい』という言葉でも、野球部と剣道部では覚悟や重みが違うなと感じた。剣道部はそれだけのことをやっている。甲子園に行きたい、ではなく『行くんだ』という意識に変えて練習に取り組んでいます」と話す。同じクラスにいる他競技の選手たちを刺激にし「野球部も良いチームで、強いチームになる」と燃えている。
「宗(村上宗隆)は今や九学の広告塔」
野球部は甲子園から7年遠ざかっているが、学校内での影響力はいまも絶大だ。昨年日本一になったヤクルト・村上宗隆の存在は、野球に興味の薄い教職員の間でも毎日話題になる共通言語に。今年1月には、東京五輪・パラリンピックの金メダリストに贈られる「ゴールドポスト」(郵便ポスト)が校門前に設置され、ちょっとした観光名所になっている。平井監督は「宗(村上宗隆の愛称)は今や九学の広告塔。この活躍は本人の努力の賜物でしょう。甲子園は1年の時に行けたけど、3年夏は行けなかった(秀岳館に決勝で敗退)。高校日本代表にも入れませんでした。あのときから『自分はまだまだ』という思いで努力する習慣が続いているのだと思います。感謝する心や謙虚な気持ちを坂井先生から教えてもらったから、今でも有頂天にならないのだと思います」と村上について語った。