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「宗の話は、何も喋りませんよ」村上宗隆の父から忠告も…気づけば2時間“家族の話” 弟・慶太「宗にぃと背比べすると、自分が勝つんです!」
posted2022/08/03 17:01
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph by
BUNGEISHUNJU
「つかれました~!」「夢でホームラン打つの見たんで~!」
村上宗隆を取材したことのない私のような者でも、人の良さが伝わってくるお立ち台のインタビューだった。大きな体で、野球少年のような笑顔。茶目っ気たっぷりで、人から愛されて育ったことを思わせるその人柄のルーツは、間違いなく家族にあると思う。
父・公弥さんが語っていた「村上家の話」
「宗の話は、せんですからね。聞かれても、何も喋りませんよ」
会って3分。いきなり釘を刺されてしまった。熊本市内で働く公弥さんのオフィスは、ヤクルトスワローズのグッズでいっぱい。この光景からも息子が大好きで仕方ないことが伝わってくるのに、次男・宗隆のことを聞かないでほしい、という尖ったオーラを感じた。一瞬ひるんでしまったが、気持ちを整え、九州学院でプレーする主砲で三男の慶太(3年)の話なら聞いてもいいということで取材を進めた。
質問は、息子の高校選びについて。中学時代に活躍した息子を、県外の高校に行かせなかった理由があれば教えて欲しいと聞いた。
「だって手元に置いておきたいものでしょう!」
こちらの緊張感を一気に和ませてくれる一言を言い放ち、「ワハハ」と笑いだした。
「母ちゃんのうまいメシば食って大きく育てたかったんですよ!」
<う、うまいメシ!? そうか、奥様はお料理上手なのだな>と理解した。やわらかい話題が出たお陰で、こちらもだんだん緊張が解けてくる。
「だってさ、2月2日生まれでしょ? 早生まれは不利ですよ。小学生のときは体力もなかったしね。慶太も11月生まれなの。ウチは月齢が遅かったんですよ」
<やばい、、、聞いてもいないのに、話題が勝手に宗隆選手の話になっている! このままこの話に乗っかっていいのだろうか……汗>