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《宝塚記念》エフフォーリア「復権」のカギを握るのは? ファン投票1位タイトルホルダーをおびやかす、爆発力が怖い“まさかの穴馬”
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2022/06/25 11:04
天皇賞・春を圧勝し、GI2勝目を挙げたタイトルホルダー
さらに、横山武史が「返し馬からこの馬らしくなかった」とコメントしたように、状態が本物ではなかった。
序盤から行きっぷりが悪かったのは、本調子でなかったことに加え、それまで課題とされていた折り合い面をクリアすべく努力してきたことが実を結びすぎたというか、学習能力が高いがゆえに、道中、前がかりにならずゆっくり走ったほうが楽だと馬が覚えてしまったことも影響していたのではないか。
頭のいい馬は、一度覚えたことは忘れない。これからも、エフフォーリアは、道中掛かることなく走るだろう。
エフフォーリア“復権”への最大のカギは
となると、コントレイルとグランアレグリアという歴史的強豪を打ち負かした天皇賞・秋のように、唸るような手応えのままコーナーを回って直線に向く活力ある走りまで見られなくなってしまうのか……と心配になってくる。今回の1週前追い切りでも、5ハロン68秒1-52秒6-37秒1-11秒1と、時計こそまずまずだったが、持ったままで併せた馬をブッコ抜く、本来の迫力は影をひそめていた。
しかし、初めてブリンカーをつけて臨んだ本追い切りでは、6ハロン85秒0-68秒8-53秒1-37秒5-11秒1と、1週前と時計はそう変わらなかったが、引っ張り気味の手応えでコーナーを回り、持ったままでいつでも突き抜けられそうな動きを見せた。
「先週とは馬の唸り方が変わっていました」と、騎乗した横山武史の言葉も弾む。
ブリンカーが利いたのか、1週前追い切りで負荷をかけたことが奏効したのか、その両方なのかわからないが、ともかく、本来のエフフォーリアの姿に戻っていた。
状態さえ戻れば、前走のようなことはない。タイトルホルダーとはこれまで3戦してすべて先着している。「復権」して、春シーズンを締めくくりそうな気配だ。