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JKとエディーは似ている!? 畠山健介が視た“革命期の日本ラグビー”と南ア撃破後の空席「あれから、ラグビーが面白いと思ったことはない」
posted2022/06/22 11:01
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Akio Hayakawa/AFLO
2011年秋。
畠山健介はニュージーランドで行われたワールドカップのメンバーに選出された。
ジョン・カーワン体制で2度目のワールドカップ。是が非でも1991年大会以来となる勝利が欲しいところだったが、現実は甘くなかった。日本は最終戦のカナダとは引き分け、フランス、ニュージーランド、勝てると考えられていたトンガにまで敗れ、1分3敗に終わった。
畠山は全試合に出場し、トンガ戦では1トライを挙げているが、憧れのワールドカップの舞台を踏んだにもかかわらず、無力感に襲われた。
「何も出来なかった……という思いが強かったです。帰りのバスの中で窓の外を見ながら呆然としていたことを今でも思い出します」
JKとエディーは似ている?
2010年代は日本ラグビーの真の革命期だった。
2015年の奇跡、そして2019年の熱狂は日本のラグビーシーンを変えた。それと反比例して、2011年の代表は忘却の彼方に去ってしまったが、畠山は2015年の成功は2011年の延長線上にあったと強調する。
「振り返ってみると、2011年の日本代表は過渡期にあったのかもしれないですね。実は、JK(カーワンのニックネーム)とエディー(・ジョーンズ)の目指すところは似てるんですよ。日本代表をどう強くするのか。ひとつには、コンタクトで負けないことが必要不可欠で、日本代表と他国に明確に存在するサイズのギャップを埋める必要がありました。JKは最初から大きな選手を選んだ。エディーは動ける選手を集め、トレーニングでデカくするアプローチを採った。つまり、アプローチの違いだけなんです。
今ではJKの功績は忘れられがちですが、彼には先見の明があったと思います。2011年の代表には、フッカーとして経験がまだ少なかった堀江(翔太)、コリーさん(ホラニ龍コリニアシ)、ジャスティン・アイブス、大学を卒業したばかりのリーチ(マイケル)、僕などが発掘され、ワールドカップメンバーに選ばれました。この5人を含めJKがワールドカップ2大会(2007、2011)を通じて選出した多くのメンバーが2015年大会でもプレーすることになるわけで、自分のことはともかく、JKは選手を見る眼があったと思います」