「いまは改善されましたが、代表の活動で支払われるのは日に数千円です。もし、代表活動期間中にケガをして、所属先のチームの試合に出れなかったり、練習に参加出来なかったら、それによって年俸を下げられ、最悪、契約を打ち切られる可能性だってあります。それだけ日本代表に行くリスクは大きかった。

　でも、そんなの関係なく、とにかく名誉というか、ラグビーをするためにあの“漢”たちは集まってました。大げさではなく、やる時は命を懸けてやる気概のある人たちです。均さん（大野均。代表通算98キャップ）を筆頭に、もう飲む時は飲む、プレーする時は全力でするみたいに。今を全力で生きている感じでした」

■「湯原さんは不器用な自分を受け止めてくれた」

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　畠山は代表で、東芝でプレーする湯原祐希と共に過ごす時間が多くなった。

「湯原さんは僕の2学年上で、大学時代から合宿で一緒になったりしていた仲でした。代表に入ってからは一緒に部屋で過ごすことが多く、2015年のワールドカップの時までずっとそうでした。湯原さんは、不器用な生き方しか出来ない自分を受け止めてくれた人でした。36歳で亡くなってしまいましたけど……。

　湯原さんは2015年のワールドカップで出番がなく、縁の下の力持ちみたいな伝えられ方をしてますけど、あの人はすごく葛藤していたと思います。だって、高校時代に得意なプレーに『かまし』って書くような人ですよ（笑）。試合に出られないのは悔しくて仕方がなかったはずです。いい人だったけど、やっぱり湯原さんも葛藤を抱えたラガーマンだったと僕は思うんですよ」

　畠山自身も葛藤を抱えながら、サントリー、日本代表で欠かせない人材となっていく。

　2011年3月11日、故郷の気仙沼が東日本大震災に遭い、畠山の実家も被災した。

「2011年、いろいろなことがありました。僕は小学校の時から日本代表になりたいと思っていましたし、ワールドカップで戦うことについては責任を感じていました」

　そして2011年秋、畠山は日本代表の一員として、ラグビー・ワールドカップ・ニュージーランド大会に参加する。

（続く）

#2に続く

JKとエディーは似ている!? 畠山健介が視た“革命期の日本ラグビー”と南ア撃破後の空席「あれから、ラグビーが面白いと思ったことはない」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。