【投手編】10位　大野稼頭央（大島高〔鹿児島〕・176cm68kg・左投左打）

　利き腕の左・右は違うが、この選手の野球の「生命力」には、明豊高当時の今宮健太選手（現・ソフトバンク）が重なって仕方ない。真っ黒に日焼けした精悍なマスク。投げても、打っても、走っても、マスクそのままのハツラツとした凛々しい姿が、伸びしろそのものだ。

　昨秋すでに145キロ前後をマークしたようだが、まだ筋肉量の足りない体だ。慌てることはない。筋肉量に合わせて、少しずつ速くなっていけばよい。それでも全身の運動量抜群のエネルギッシュな選手だから、一生懸命練習していけば、勝手にパフォーマンスはそのレベルを上げる。

　春先の時点でも、ベースの両サイドにきちんとラインを作れて、左打者の内角にもきめられるのは、サウスポーとして大きな才能だ。その体で、どうしてあっという間に外野の頭上を超える弾丸ライナーが！と思ったら、握力70キロ台だそうだ。

　ピンチでの腹の据わった腕の振りと、チャンスでの思いきり抜群のフルスイング。これで、プロの食事とトレーニングで鍛えたら……個人的には、ドラフト1位でもよいぐらいの「逸材」だと考えている。

【投手編】9位　吉村貢司郎（東芝〔國學院大←日大豊山高〕・183cm85kg・右投右打）

　社会人3年目、満を持してのドラフトイヤー。春の公式戦は好調が続き、特に東北大会の投球が圧巻だった。力み過ぎない腕の振りから、150キロ前後の速球がトヨタ自動車ほか社会人強豪のスイングを圧倒する。もともと一級品だったフォークに、何を意図して投げるのか……を意識する「教育」を受けているので、スライダー、カーブも「なんとなく投げる変化球」じゃない。

　変わったな……と思ったのは、ピンチでのマウンドさばき。現実をどっしり受け止めて堂々と立てている。「エースの矜恃」が漂い始めて、実戦力がワンランクアップ。

　正念場は「都市対抗」のマウンドだ。この日のために男たちが1年間鍛練に励む熱火のマウンドでも、いつものように投げていれば……プロのマウンドをグッと近づけることができる。

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