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記者の声「ギータ瘦せた?」 交流戦で1試合5三振、本塁打ゼロの異常事態…ソフトバンク柳田悠岐(33歳)に今、何が起きているのか
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/06/14 06:00
ホークスの主砲、柳田悠岐の“低空飛行”が心配だ
天真爛漫で、天然キャラで、どこかネジが抜けているような姿はあくまで普段の彼であって、野球に対して誰よりも真摯に向き合う性格なのは藤本監督が一番理解している。
「柳田も状態は悪いけど、四球を取るとかチームに貢献をしてくれている。本当にしんどい中でも葛藤していると思う。それでも出塁率3割5分近くあるわけだから。あとは状態を上げるだけ」
「チャートを見ても、柳田が一番厳しい攻めをされている。他の打者に比べてスピードを上げてくる投手もいる。相手が一番嫌がっているということ」
「3番・柳田は1年間替えないつもり」
信頼を寄せる言葉が日々聞かれている。
10日のスワローズ戦の日には、全体練習前に早出特打を行った。本人曰く9年ぶりとのこと。もがき苦しむ主砲はとにかくバットを無心に振るという選択をした。
長谷川コーチが指南した「おじちゃんバッティング」
ところで、そんな柳田に一風変わったアドバイスを送ったのが長谷川勇也打撃コーチだ。
つい先日、練習中に柳田と会話をしていたことについて訊ねると「おじちゃんバッティングの見本を、年相応のバッティングを見せただけです」と笑って答えた。
「年寄りバッティングです(笑)。なんていうのかな、より本質というかシンプルに考えてもらえるように。そんなに力まなくても飛ばせるし、タイミングが合えば振り切れる。まずはタイミングを合わせながら、あとはどこを使って振るか。その意識だけ。シンプルにやればいいんです。これまでたくさんバットを振ってきたわけですから、体に染みついたものもある。あとはそれを使ってピッチャーとしっかり勝負すればいい。いろんなものを省いて、省いて、シンプルに。今さら、何かを付け加えるのではない」
悩む柳田に今、何が必要か
今年10月に34歳を迎える。まだ老け込む年齢ではないが、ベテランと呼ばれる域に達しつつあるのは確かだ。ただ、若かった当時にいつかあのフルスイングはできなくなると周囲から言われていたが、柳田は頑なに首を横に振り続けた。
柳田は迷い、悩んでいるはずだ。試行錯誤は続くが、ペナントレースはまだ折り返しにも達していない。取り返す時間はまだ残されている。「穏やかな心」――柳田は好調時に秘訣をそのように答えたことがあった。今、まさに必要なのはそれかもしれない。明るく元気に、そして真剣に、そうやって前へ進もうとする柳田の姿をみんなが待っている。
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