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“世紀の一戦”を前にした那須川天心の告白「正直、決まったときは不安がありました」… 武尊の存在は「徐々に小さくなっている」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2022/06/14 11:03

“世紀の一戦”を前にした那須川天心の告白「正直、決まったときは不安がありました」… 武尊の存在は「徐々に小さくなっている」<Number Web> photograph by Susumu Nagao

5月中旬、『THE MATCH 2022』に向けたRISEの合宿に参加した那須川天心。鬼気迫る表情でビッグミットにパンチを打ち込む

 だとすれば、どのようにして武尊の存在が小さくなるところまで気持ちを整えたのか。

「どうしたら勝てるのか。武尊選手との戦いは、それを考えるところから始まりました」

 その疑問を突き詰めていった結果、天心は不安を一切感じなくなった。だからこうも断言した。

「いまは明確に(勝ちを)イメージできる」

“武尊が勝つ”という予想も「どう思ってもらってもいい」

 昨年12月、この一戦が発表されたとき、少なくとも筆者の耳には「天心有利」の声の方が大きかった。しかし、4月あたりから「武尊が勝つんじゃないか」という声も増えてきた気がしてならない。この移り気な巷の予想を、天心はどのように受け止めているのか。

「やっぱり『勝つんじゃないか』『勝ってほしい』という予想と、実際に『勝つ』というのは違うと思う」

――ややもすると判官贔屓になる、ということ?

「ハイ。だから別に、そこはどう思ってもらってもいい。やっぱりそういう声があるからこそ、試合前の盛り上がりも生まれるので」

 いまでも週1回は天心にボクシングを指導する元OPBFスーパーバンタム級王者の葛西裕一氏(ボクシング・フィットネスジムGLOVES代表)も合宿にも参加し、天心とボクシングミットの練習に励んだ。ミットを受けた直後、葛西氏は「これはもう心配ない」と納得していたが、天心もその意見に同調した。

「気を抜かなければ全然(問題ない)」

 この時点で筆者は、天心が絶好調のまま東京ドームのリングに立つことを想定していた。しかし世の中、何が起こるかわからない。先日、フジテレビが『THE MATCH 2022』の放送から撤退することが発表されるや、イベントそのものが大きく揺れた。

 SNSを通して、天心は「お金の為じゃねえんだよ 未来の為にやってんだよ 子供達はどうすんだよ」と悔しさをぶちまけた。続けて自身も「格闘技のテレビ放送を見て人生が変わった」と振り返り、「目先のお金なんてちっぽけだし、俺はお金の力には負けたく無い。この試合は沢山の子供達、未来のある人達、より多くの人に観てもらいたい。それには地上波しか方法は無い」と主張した。

 武尊も同様にフジテレビでの放送復活を望んだが、ふたりの思いは届かなかった。識者の間ではモチベーションの低下を危惧する声もあるが、そこは両者ともプロ。しっかりと気持ちを切り換えてリングに上がるはずだ。勝利のために。そして格闘技の未来のために。『THE MATCH 2022』の先には、どんな風景が広がっているのだろうか。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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