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“V候補のセンバツ辞退”から3カ月…京都国際エース森下瑠大にのしかかった“試練”とは? 近江と初対決「山田君はやっぱりいいピッチャー」 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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posted2022/06/11 11:00

“V候補のセンバツ辞退”から3カ月…京都国際エース森下瑠大にのしかかった“試練”とは? 近江と初対決「山田君はやっぱりいいピッチャー」<Number Web> photograph by Fumi Sawai

練習試合で対戦が実現した近江・山田陽翔(右)と京都国際・森下瑠大

「テレビで全試合の中継を見ました。センバツに出ている学校の中に夏の甲子園にも出てくる可能性がある学校もあるので、どんなチームなのかを気にしながら見ていました。そんな中で大阪桐蔭はやっぱり強いですし、大阪桐蔭を倒さないと日本一にはなれないと思いました。どんな風に抑えれば勝てるのか。例えば2番の谷口(勇人)君は特に三振をほとんどしなくて、追い込まれても粘って相手の嫌がるようなことをしてくる。自分だったらどんなボールを投げるのかとか、色んなことを考えながら見ていました」

 自分たちの代わりに出場した近江の戦いも目に焼きつけた。もちろん、エースの山田の“奮投”も。

「山田君は1回戦から完投してきて、疲れを見せずにあそこまで投げて決勝まで勝ち進めるのはすごい。体力もそうですが、人間としてあそこまでチームから信頼を得られているというのは、日ごろから良い練習をしているというか、姿勢がいいのかなと思います。浦和学院戦で死球が当たってもマウンドを降りなかったのは、自分の立場の重要さや責任感、チームを背負うことの大きさがあったからだと思います」

複雑な心境でセンバツを見た小牧監督

 小牧監督も同じような思いでセンバツの試合をテレビで眺めていた。

「(代替出場が決まって)3日後には初戦を迎えることになった近江さんもそうですが、長崎日大さんにも申し訳なくて……。左の本格派対策をしていて、いきなり右の本格派と対戦することになって、本当に大変だったと思います。当初はセンバツを見る気持ちにはあまりなれなかったのですが、初戦はちゃんと試合成立まで見届けることが、せめて自分ができることだと思いまして……。実際、1人の野球ファンとして感動するいい試合だったじゃないですか。試合を見終えて、何とも言えない感情を持ちました」

【次ページ】 復帰後、エース森下に訪れた試練とは?

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