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イニエスタ38歳「オコノミヤキがお気に入り」「地下鉄にも乗りましたね」家族で育む“日本愛”とバルサ来日での思い出〈インタビュー〉 

text by

茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byPIA CORPORATION

posted2022/06/05 17:00

イニエスタ38歳「オコノミヤキがお気に入り」「地下鉄にも乗りましたね」家族で育む“日本愛”とバルサ来日での思い出〈インタビュー〉<Number Web> photograph by PIA CORPORATION

来日5年目を迎えたイニエスタ。日本生活を満喫しているようだ

イニエスタ:「神戸に住んでいる時にあなたが生まれたんだよ」。このように伝えたいと思っているんです。もしかしたら、他の子どもたちに比べて日本人っぽいところもあるかもしれませんね(笑)。

 ◇ ◇ ◇

『イニエスタ・ジャパン!』でもこのように、愛する我が子たちへの教育や経験について触れている。

〈子どもたちは素晴らしい体験をしています。言葉に関しても、新しい人との出会いについても。学校で仲良くなったクラスメイトたちと、貴重で文化的な経験をしています。自分たちが生まれ育った故郷とはすべてが根本的に異なる街で、彼らがいま経験していることは明日への糧となるでしょう〉

 ではそんな日本での生活で、印象深い出来事とは何だったのだろうか?

 ◇ ◇ ◇

クラブW杯の時、地下鉄に乗ってみたりしましたね

――神戸の方々との触れ合いで、何か覚えていることはありますか?

イニエスタ:よく聞くのは「日本を選んでくれてありがとうございます」という言葉です。私にとっては深い言葉で、とても感動しました。日本人は私たちに対して思慮深いというか……そういった感情があるように感じます。外国籍選手が日本でプレーすることを選ぶのはとても大事なポイントになっているのでは、と思います。

――日本のサッカーファンにとって大きく印象に残っている出来事と言えば……イニエスタ選手がバルサに所属していた頃のクラブW杯です。ピッチでの活躍はもちろんですが、バルサのメンバーそれぞれが練習以外の自由時間では東京を満喫している様子を、SNSなどで発信していました。当時のことを覚えていますか?

イニエスタ:そうでした。その日がオフ、もしくは午後がオフというときに、チームメートのみんなが「新しい経験をしてみたい、日本に関して知ってみたい」ということで地下鉄に乗ってみたり、どこかに行ってみたり新しい経験をしましたね。

 ◇ ◇ ◇

「イニエスタと日本」をつなぐ上で語り草なのが、2011年クラブW杯でバルサの一員として来日した時のこと。イニエスタや現監督のシャビにセルヒオ・ブスケッツら鉄板の中盤でゲームを支配し、リオネル・メッシらが仕留める。ジョゼップ・グアルディオラ監督体制下で完璧なポゼッションスタイルを確立した黄金時代のバルサに日本は沸き立ったが、そんな彼らが自由時間を与えられ、思い思いに首都圏のスポットを観光していた。

 21-22シーズンにバルサに復帰したダニエウ・アウベスは当時、横浜駅構内の「Yokohama」の駅名標の前でウキウキな表情で写真に納まっていたな……なんてことを思い出しながらイニエスタに話を聞いたら、本人自ら「地下鉄」という単語を口にした。

 そうだ。地下鉄、乗ってたな……文藝春秋の中吊り広告を前に写真を撮っているのに、ほかの乗客が全く気付いていない(のか、慮ったのか)様子はシュールながら、イニエスタが日本を満喫しているようで、本当に嬉しくなった記憶がある。

 そんな些細な出来事も、穏やかで理知的なイニエスタは覚えていた。

【次ページ】 日本に来て数多くの選手とプレーできてとてもうれしい

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