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「トミヤスは最大のサプライズ」英メディア絶賛も… 冨安健洋がアーセナル1年目を「まだまだ」「満足できない」と話した理由〈現地取材〉
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byVisionhaus/Getty Images
posted2022/05/31 11:02
負傷離脱期間が長引いたのは惜しかった。とはいえ、冨安健洋がアーセナルで見せたプレーのクオリティは非常に上質だった
ポゼッション時には、右サイドから中央部にポジションをスライド。冨安のポジション移動で最終ラインは4バックから3バックに変形し、左サイドバックのキーラン・ティアニーの攻撃参加を促すという難しい役割をこなした。左右両足を器用に使いながらビルドアップでも貢献し、攻守両面で存在感を示した。
その一方で、怪我に泣いたシーズンでもあった。12月中旬に右ふくらはぎを痛めて離脱すると、強行出場での実戦復帰と怪我再発を2度繰り返した。2月には反対の左ふくらはぎを負傷。復帰できたのは4月23日のマンチェスター・U戦で、5試合出場した後、再び怪我を抱えて欠場した。
それでも英メディアは、今季のシーズンレビューで冨安に称賛の声を上げた。
英スポーツサイトのアスレティックは、アーセナルにおける「今季最大のサプライズ選手」に冨安を選出。「デビュー戦となった昨年9月のノリッチ戦からヒットした。右サイドで絶大な頼もしさを見せ、ポゼッションと守備の両方で貴重な選手となった」と指摘。「両足でプレーできる能力は非常に重要で、守備時における我慢強さと意思決定も、これまで最終ラインにあまり見られなかった落ち着きをもたらすことにつながった」と高く評価した。
最終節後、今季の総括を本人に聞いてみると……
最終節エバートン戦後、冨安に今季の総括として話を聞いた。日本代表DFは静かな口調で次のように話した。
「本当に満足できないシーズンでした。来シーズンに向けて、しっかりまた準備していく必要があるなと思っています。プレミアに慣れていないからこそ、怪我をしたんだと思います。まだまだだなという感じですね。
(記者:それでも英メディアの評価は高いが?) まだまだですよ、本当に。僕の中では全然(足りない)という感覚の方が大きいです。監督が求めているサッカーをピッチ上で完全に表現できているかと言われると、そうでもないので。20試合ぐらい(※アーセナルでは公式戦22試合出場)しか出られなかったし、本当に満足のいくシーズンではなかったですね」
冨安が感じる自身の課題とは?
冨安の言葉は、自身の課題について及んだ。