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「トミヤスは最大のサプライズ」英メディア絶賛も… 冨安健洋がアーセナル1年目を「まだまだ」「満足できない」と話した理由〈現地取材〉
posted2022/05/31 11:02
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
Visionhaus/Getty Images
冨安健洋のプレミアリーグ挑戦1年目が終わった。
5月22日に行われたプレミア最終節エバートン戦を「太もも裏の張り」(アーセナル公式発表)で欠場。黒シャツの私服姿で、仲間たちの戦いをベンチ裏で見守った。
試合はホームのアーセナルが5-1で圧勝したが、欧州チャンピオンズリーグ出場圏内の4位トッテナムも最終節ノリッチ戦に勝利した。そのため、5位のアーセナルは勝ち点で追いつくことができず、CL出場の夢が叶わなかった。
最終節後には選手たちが場内を1周し、サポーターの声援に拍手で応えた。6季ぶりとなる欧州最高峰の舞台への復帰は実現しなかったものの、アーセナルファンは拍手で選手たちの労をねぎらっていた。そして、冨安も私服姿のままピッチを回り、拍手でファンに感謝の意を表した。この間、スタンドでは日本代表を称える「スーパー、トミヤス」のチャントが起きた。
アーセナルサポーターの温かい反応は、「よくやった」と選手たちを褒めているようだった。
クラブ史上67年ぶりの開幕3連敗で最下位に沈んだ序盤戦の大苦戦を思えば、ここまでよく持ち直した。来季に向けて前向きな気持ちになれるパフォーマンスを見せたのも事実で、チームの奮闘と来季への期待が大きな拍手につながっていたように思う。
悪夢の開幕3連敗から冨安加入で空気が一転
今季を振り返ると、9月11日のノリッチ戦がアーセナルにとって一大転機だった。8月に悪夢の開幕3連敗を喫した後、ミケル・アルテタ監督には解任論が沸き起こった。スペイン人指揮官はこのタイミングで新戦力をスタメンに抜擢し、若手中心の編成に切り替えた。
その中に、昨夏の市場で加入した当時22歳の冨安がいた。新戦力のGKアーロン・ラムズデイル(同23歳)、DFベン・ホワイト(同23歳)とともに先発メンバーに入り、1ー0の完封勝利に貢献。守備が安定したことで、攻撃も見違えるほどスムーズになったアーセナルは、ここからリーグ戦で8戦無敗(6勝2分)の快進撃を見せた。
冨安の加入効果は抜群だった。
チームの弱点だった右サイドバックに入ると、力強い守備で対峙したマーカーを抑えた。空中戦でも圧倒し、当たり負けするシーンも皆無だった。怪我の影響で国内リーグの出場数は38試合中21試合と少なかったが、それでも34回のパスブロック数はチーム3位、36回のインターセプト数も同3位と、好成績を残した。
英メディア「ポゼッションと守備の両方で貴重な選手」
攻撃面でも大きな役割を果たした。