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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
なぜレアル・マドリーは「CLで異常に勝負強い」のか “完璧だったはず”のマンCを逆転…カメラマンが震えた「伝統と成功体験の継承」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/05/28 11:03
大逆転劇に沸き上がるマドリーイレブン。通算14度目のCL制覇へ、あと1勝だ
練習時から恐ろしいほど速く正確なシティのパス回し
話は、準決勝キックオフ前に戻る。
5月4日、マドリードは晴天だった。
21時のキックオフ2時間前に取材パスを得るため、スタジアムへ到着した。
すでにこの逆転劇の舞台は整い始めていた。スタジアム南側を走るコンチャ・エスピナ通りは、選手バスの到着を待つたくさんのマドリーファンで埋め尽くされていた。
巨大なスタジアムの観客動員数を超えるものだった。
現在進行形で改修が行われており、UEFAが定める5つ星スタジアムの一つであるスタジアムのピッチ脇にカメラポジションを取る。
目の前でシティの卓越したロンドが繰り広げられる。いちサッカーファンとして至福の時だ。
速いパススピードに正確なコントロール、特に目についたのは、ベルナルド・シウバのプレッシャーなど感じていない、楽しそうな笑みを浮かべてのアップだった。リバプールのアップを撮影する際に感じる鬼気迫る感じはない。
現代サッカーベストプレイヤーの1人、デ・ブライネの足元にクローズアップして、ボールタッチの瞬間を狙ってみる。
またピッチ上には、ヴィッセル神戸を率いたこともある、ペップの右腕フアンマ・リージョのリラックスした姿も見ることができた。シティに遅れてピッチに姿を現したマドリーの中には、シティを見つめるベンゼマの姿があった。
両チーム入場時、南側ゴール裏にはそのベンゼマの姿が描かれた弾幕が出された。
“OTRA NOCHE MAGICA”
魔法の夜よ再び。
冷静沈着なモドリッチまでもが
ビハインドのマドリーは、左サイドのビニシウスから攻撃を仕掛けたい。しかし、そこはウォーカーに加え、マフレズも下がりブロックされる。
試合を通し、激しい攻防が繰り広げられた。
そして何度も観客を煽り、ファンに共闘を呼びかける姿が見られた。試合開始早々、この試合へかける思い、スタジアムの盛り上がりもあってか、カゼミーロがデ・ブライネへ激しいタックルをみせた。
また、冷静沈着なモドリッチまでもが、ファウルへの言い争いの中、ラポルトの首元へ手をかけ倒してしまう。この試合の1つのターニングポイントだった。
カゼミーロのプレーに対し、主審はカードを提示しなかった。イエローカードが出ただけでも、今後のプレーに影響を及ぼしたはずだ。
また、モドリッチに対しても、審判は、この時間帯での試合を破壊することを嫌がったか、イエローカードを出すにとどまった。