「今日は意図的に集団の中でレースを進めました。国際レースに向けて、全体的にレースが遅くなったり、不規則なレース展開になると思うので、最後の切り替えで自分が出ないといけない時に押し切る力、ゲームメイクの力が必要になってくると思うんです。それを磨くためにラスト1000mからの逃げがあったので、それは機能したと思います。集団でも危ないと思う場面がなかったので、その点では（集団の中でも）合わせることができたのかなと思います」　

　東京五輪という国際レースで三浦が経験したのは、海外の選手たちのペースの極端な上げ下げに加え、集団の中でもハードルを気にしない、走力で障害をカバーしていく力強い走りだった。世界に勝つためには、どんな状況に置かれても勝ち切るだけの走力とスパートのキレが必要になる。そのために五輪以降、スピード強化と持久力を鍛えてきた。三浦の足が以前にも増して磨かれた感があるのは、脚にダメージを与え、リズムを壊しながら走る3障対応への脚作りが順調に進んでいる証左でもある。

「今日のレースの結果を踏まえて調整を変えていくところもあるかもしれないですけど、今のところ結果が出ているので、これからも大きく変えずにいきたいと思います」

世界レースへの参戦を見据えて、集団の中で走る展開を想定していたという三浦　©Yuki Suenaga

　順大の長門俊介監督とともに自信となるものをひとつずつ身に付け、三浦は強さを増している。

明暗が分かれた学生トップランナーの2人

　世界に向けて淡々と調整する世界7位と、ぶらさがった世陸出場へのチャンスを一発でものにできなかった学生チャンプ。今回は明暗を分けた結果になったが、ここですべてが決まったわけではない。三浦はさらに前に進み、田澤は吉報を信じて、来るべき日のために調整をつづけていく――。