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田澤廉「自分の弱さが出た」、三浦龍司「タイムはもっと上を」…世陸を目指す“大学トップランナー”の明暗はなぜ分かれた? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2022/05/10 06:02

田澤廉「自分の弱さが出た」、三浦龍司「タイムはもっと上を」…世陸を目指す“大学トップランナー”の明暗はなぜ分かれた?<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

日本長距離界の将来のエースであり、前回の箱根駅伝でともに2区を駆けた2人が対照的なレースを見せた

「いつもは試合が終わって少し休んでから自分の練習をするんですけど、今回は休まず、疲労が取れないまますぐに(練習を)やってしまった。そこで自分のペースを崩してしまったなというのを走る前から思っていました」

敗因は「監督に自分の体調を共有しきれなかった」

 なぜ、崩してしまったのか。その原因について田澤はこう語った。

「自分は金栗で走って、いい流れでやりたかったんですけど、そこで監督との(考えの)差が起きたところからちょっと狂ってしまったのかなと……そういうところを合わせていかないとちょっとしたところでミスが起きてしまうというのが今回分かった。これからはしっかりと自分の意見を言って、自分の体調を共有した上で試合に臨んでいきたいと思います」

 田澤レベルの一流ランナーでも大会が続くと調子をピークにもっていくのが容易ではなく、身体のセンサーも非常に敏感だ。それは三浦もまさに同じで、身体に残る疲労感や嫌な感覚は選手自身にしか分からない。そのため、自分が感じたことを素直に監督に伝え、理解してもらうことが重要になる。その感覚を共有できていないと身体とメンタルに歪みが生じ、さらに積み重なっていくとレースに大きな影響を及ぼしてしまう。田澤の言葉は、その怖さを実感したものであり、言うべきことを伝えきれなかった自らへの反省だった。

「(参加)標準記録を切って余裕があるなか、3番以内に入れなかった。一番条件が良かったのは自分だったんですけど、それでも結果を残せなかった……悔しいです」

 田澤にとっては、今回の“10位”は痛恨の結果だ。

 オレゴンの選手権への派遣は、日本選手権の順位が優先される。田澤よりも上位9名の選手が6月26日までに標準タイムを切れば、その時点で内定が決まる。この日、優勝した相澤らは6月22日のホクレン・ディスタンス20周年記念大会の10000mに出場し、標準タイムのクリアに臨む予定だ。もちろん、田澤の世陸出場の可能性はゼロではない。期日までに9名の選手の内、標準タイムを突破できた選手が2名以下の場合、オレゴン行きの可能性が出てくる。

 オレゴンの世陸出場に向けて圧倒的に優位なポジションに立っていただけに、レース後のショックは大きく、「今後のレースはまだ考えられない」と語った。ミックスゾーンを終えて、取材用のブースに行っても田澤は椅子に深く腰かけたまま、うなだれていた。

驚異のラストスパートで優勝の三浦「タイムはもっと上を」

 一方で、3000m障害のレースで優勝した三浦はすっきりとした表情でミックスゾーンに現れた。

【次ページ】 「今日は意図的に…」三浦が試していた“あること”

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