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シャルケは満員6万人超の大声援、三笘薫ゴールの試合ではミックスゾーンに現地ファンが…《欧州サッカー海外組取材で観た撮った》
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byPanoramic/AFLO
posted2022/05/09 17:02
アンデルレヒト戦でゴールを決めた三笘薫。ゴール裏の相手サポーターの表情が意味の大きさを物語る
「ウイングバックは強度や守備力を求められるので、将来のプレミアリーグでのプレーにもつながる。自分に足りない部分を補うという点で、いい経験ができていると思います」
三笘を援護射撃するかのように、3バックの左に入る町田も激しいプレーで応戦し、しっかり戦力となっていることが確認できた。
三笘の見せ場は2-1とリードした52分に訪れた。右サイドからマイナスのクロスが入ると、ゴール前に飛び込んできた三笘が蹴り込む。そのゴールシーンは、W杯出場を決めた3月のオーストラリア戦の1点目を彷彿させた。
その後、三笘は2トップの一角でもプレー。87分にお役御免とばかりに、スタンディングオベーションに送られてベンチに下がった。
ミックスゾーンにサポーターがお構いなしに……
ミックスゾーンはピッチ脇に設けられていた。とはいえ、メインスタンドの最前列にちょっとした柵を設けているだけだから、サポーターがお構いなしに押し寄せてくる。ゆっくり話を聞ける状態ではなかった。
それでもミックスゾーンにやって来た三笘に声をかけ、インタビューのお礼をしてから、少しだけ話を聞いた。
「後半は高い位置を取ろうって、チームメイトと話し合っていたんです。ゴールは狙っていた形でしたね」
そう明かした三笘は「まだ5試合残っていますから。次負けたら意味がないので」と気を引き締めてロッカールームに戻ろうとしたが、サインや写真撮影を求めるファンに引き止められ、その後もしばらくファン対応をしていた。
およそ2年ぶりに訪れたヨーロッパで目にしたのは、日本では過去のものとなってしまったフットボールの風景だった。歓声、歌声、絶叫、怒声、嘆息……そのすべてが懐かしい。そのスタジアムの熱狂の中で、越境者たちは変わらず、戦っていた。
その姿を見て、胸が熱くなった。そして、日本のスタジアムにも歓声や歌声が戻ってくることを願わずにはいられなかった。
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