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[代表前主将が明かす!]長谷部誠の欧州で生き抜く方法論
posted2022/05/08 07:01
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Ryu Voelkel
ドイツの地に根をおろして14年。代表から退いた今も欧州の最前線で戦い続けている。次世代の範となるフロントランナーの極意を本人へのインタビューで探った。
アイントラハト・フランクフルトの選手たちは、祝宴を催すべく街へ繰り出そうとしていた。
ヨーロッパ・リーグの準々決勝第2戦、敵地カンプノウに詰めかけた約3万人にも及ぶサポーターの前でバルセロナを打ち破った4月14日の夜のことだ。
パーティー好きの若手が喚声を上げる中、38歳のベテランがしかめっ面をしていた。ほかでもない。長谷部誠だった。
「クラブの了承を得て、チームで外で会食するという流れになったんですけどね。僕も若いときであれば、行かなきゃと思ったんですけど、コロナも心配だったし、今回ばかりは断固拒否したんです」
ところが、羽交い絞めにされて無理やりバスに担ぎ込まれた。わいわい大騒ぎだ。
「日本では考えられないと思うんですよ。若い奴が年寄りに無理強いするなんて。絶対に行かない! と言ったのに、連れて行かれちゃいました(笑)。なんだか、いまだにいじられる部分が残ってるんですよ」
行きたくなかった、10分で帰ったと言いつつも、その表情は間違いなく嬉しそうだった。世代の異なる者たちとの共存は、幾多の経験を重ねてきた38歳の心を若返らせている。
様々な人種、国、文化が存在する世界で、サッカーはあらゆる者が同等の条件で勝敗を争う競技として成立している。ヨーロッパの第一線で戦い続ける長谷部は、その厳しさと意義を深く認識している選手のひとりだ。