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シャルケは満員6万人超の大声援、三笘薫ゴールの試合ではミックスゾーンに現地ファンが…《欧州サッカー海外組取材で観た撮った》
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byPanoramic/AFLO
posted2022/05/09 17:02
アンデルレヒト戦でゴールを決めた三笘薫。ゴール裏の相手サポーターの表情が意味の大きさを物語る
シャルケが痛恨の敗戦を喫したあと、僕自身も痛恨のミスを犯していたことに気付かされた。
この日はミックスゾーンが開かれるということで楽しみにしていたが、事前申請が必要だったのだ。クラブからアプリを通して様々なメッセージが送られてくるのだが、その中にあった「ミックスゾーンでの取材を希望する人は試合日の正午までにその旨を伝えてください」とのメッセージを見逃していた……。
板倉とはデュッセルドルフの街中のカフェで偶然会ったから、まあ、いいか――そう、自分を納得させるしかなかった。
三笘と町田の所属クラブ、街並みはどんな感じ?
《4月24日、ロイヤル・ユニオン・サン・ジロワーズ対RSCアンデルレヒト》
11時にデュッセルドルフ中央駅を出発し、11時45分にケルン中央駅で乗り換えて、ブリュッセル北駅に着くのは13時30分……のはずが、13時になっても僕はまだケルンにいた。
出発してしばらくすると、故障のために電車が止まり、乗り換えに間に合わなくなってしまったのである。
旅の終盤に迎えた最大のアクシデント。しかし、幸いにも目当ての試合のキックオフは18時30分。次の電車に変更しても十分間に合う。心を落ち着け、チケットセンターでチケットを変更してもらったあとに大聖堂周辺を散策し、13時45分発の高速列車に乗った。
三笘薫と町田浩樹が所属するロイヤル・ユニオン・サン・ジロワーズは、ブリュッセル首都圏地域のサン・ジルにホームを置くクラブだ。長らく2部暮らしが続いたが、1972-73シーズン以来となる1部昇格を果たした今季、開幕から快進撃を続け、なんとレギュラーシーズンを首位で終えた。
ベルギーリーグはレギュラーシーズンのあと、上位4チームがホーム&アウェイで戦うプレーオフ1が組まれており、この日のアンデルレヒト戦はその初戦にあたる。
サン・ジロワーズのホームスタジアム、スタッド・ジョゼフ・マリアンへは、ブリュッセル南駅からトラムで10分ほど。それなら歩いて20分。これくらいの距離なら、街を観察するために歩くのが旅の醍醐味というものだ。
15分ほど歩くと、チームカラーである黄色と青のマフラーを巻いた人たちが増えてきた。スタジアムは住宅街の中にひっそりと建ち、ただでさえ狭い道路はサポーターで溢れかえっている。そして、ここでもビールの匂いが充満していた。
人を掻き分けてなんとか到着したスタジアムは、煉瓦造りでかなりの歴史を感じさせる。収容人数8000人ほどのこぢんまりとした造りで、メインスタンドは15列しかない。その最後列が記者席で、一度席に着くとあまりに狭くて身動きが取れないほどだ。
三笘と町田は揃ってスタメンだった。3-5-2の左ウイングバックを務める三笘は、ディフェンスラインまで戻って体を張り、長い距離を走って前線に飛び出して行った。対峙する黒人選手に吹っ飛ばされる場面もあったが、泥臭く戦っていた。
そうした姿を見て思い返したのは、10日ほど前にインタビューした際の三笘の言葉だ。