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17歳メキシコ人左腕の衝撃…ソフトバンクが前例なき“青田買い”に踏み切れたワケ「週に2回、日本語授業を受けて…」 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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posted2022/05/03 11:04

17歳メキシコ人左腕の衝撃…ソフトバンクが前例なき“青田買い”に踏み切れたワケ「週に2回、日本語授業を受けて…」<Number Web> photograph by Kotaro Tajiri

モイネロを彷彿とさせるメキシコ人17歳左腕・アレクサンダー・アルメンタ。ホークスが獲得した育成外国人選手4人の素顔とは

 さらに球団はもう一人通訳を雇用。福岡市内でなく、寮から近い筑後市内に住むことが条件だったそうだ。その彼は福岡吉央通訳。元スポーツ紙記者で、退職後に中南米にわたり元DeNAの久保康友がメキシカン・リーグに在籍した際に通訳をしていた経験の持ち主だ。

「寮で日本人選手と一緒に麺を食べたり…」

 ゲレーロと福岡の2人が、育成外国人選手4人にとっての「日本の家族」であり「先生」役となっている。

「現在、週2回、夜に1時間程度のオンラインでの日本語授業を受けていますし、球団が日本人の新人選手に行う講習(トレーニング学や栄養講習をはじめ、社会人としての一般教育など)も定期的に受けています」(福岡通訳)

 また、福岡通訳は言う。

「僕も実際に向こうで暮らしましたが、日本人の気質とはまるで違うし、日本の常識が通用しないことも多々あります。それが日本に来て不真面目と捉えられたりして苦労する外国人選手も多いのです。だけど、彼らは日本人から見ても真面目気質。食事で困る様子もないし、寮で日本人の若手選手と一緒に麺を食べたり、近所のスーパーマーケットに行って買い物をして食べたりと馴染んでいます」

将来的に四軍設置も視野

 日本人の福岡、ドミニカ共和国出身でプロ野球経験者でもあるゲレーロの2人体制でサポートするというのが絶妙に良いバランスを生んでいるのもある。また、福岡は「ホークスは中南米駐在スカウトに萩原健太を置いています。彼が選手の性格まで熟知してスカウトする。それが大きい」と話す。

 ホークスはかねてより育成枠ならびに三軍制を積極活用し、プロ野球界に新しい風を吹き込んできた。今季は三軍を拡充。近い将来の四軍制導入に向けて動き出している。

 その中で、17歳の外国人選手獲得という新たなチャレンジがどう実を結ぶのか。三笠GMは「理想は外国人枠の中で1、2枠を、育成出身の選手が占めて活躍してくれること」と語る。中長期的な視点で見守っていく必要がありそうだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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