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スカウトが持ち歩く「虎の巻」、セカンドキャリア支援…ホークスが育成ドラフトで“大量指名”できたワケ《史上最多の14人》
posted2021/10/21 11:07
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Sankei Shimbun
「第14巡選択希望選手、福岡ソフトバンク……」
じゅ、じゅうよんじゅん……⁉ ホークスは今秋ドラフト会議の育成部門において14名を指名した。これは昨年のジャイアンツの12名を上回り、育成ドラフト史上最多となった。
ホークスが育成ドラフトで大量指名を行った理由――。
それは三軍を来季より拡充するためだ。三笠杉彦GMが10月4日、球団担当記者に向けたオンライン取材で明らかにした。
ホークスが三軍制を導入したのは2011年シーズンから。NPBのファームと試合を組むこともあるが、基本的には独立リーグ、社会人、大学との交流試合をメインに、年間80試合程度を行ってきた。
「それ(試合数)を2倍弱くらいまで増やすことを考えています。130~140試合にしたい」
スタッフが代走で出場!? 大量指名のワケ
ホークスの二軍が所属するウエスタン・リーグが今季の場合は最大132試合だった。一方のイースタン・リーグが最大144試合(いずれのリーグも中止による再試合はなし)。つまり、ホークス三軍も同規模にするというわけだ。
それを実現するにあたり問題となったのが選手の人数だ。
今季のホークスに関していえば、選手保有数は89名だった(10月20日時点)。一軍登録の上限が31名(従来は29名だが、コロナ特例により昨季からの2シーズンは31名)だから、残りの選手を二、三軍へ均等に振り分けるのかといえば、そんな単純な話ではない。
プロ野球には故障も付きものだ。リハビリ組に回らざるを得ない選手も当然少なくない。その中で、二軍戦はプロ野球公式戦のため、試合運営は是が非でも行わなくてはならない。そのため三軍は時折、選手不足に陥ったことがあった。数年前に現役を引退したブルペン捕手らチームスタッフが代走出場したり、過去には打席に立ったりしたこともあった。
「三軍も健全に運営していくために、来季からは100名以上の所帯にしたいと考えています」(三笠GM)
また、別のフロント幹部は球団の意図を次のように補足した。