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「“気分が乗らない雰囲気”を出す選手がいない」「キャンプで“西川走塁道場”が…」昨季コーチの鉄平だからこそ知る《楽天首位快走の真相》

posted2022/05/03 11:03

 
「“気分が乗らない雰囲気”を出す選手がいない」「キャンプで“西川走塁道場”が…」昨季コーチの鉄平だからこそ知る《楽天首位快走の真相》<Number Web> photograph by Kyodo News

首位を快走する楽天。昨年までコーチだった鉄平氏に好調の要因を語ってもらった

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間淳

間淳Jun Aida

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楽天は5月2日時点で2位ソフトバンクに4ゲーム差をつけて首位を快走している。その理由を昨季までコーチを務めた鉄平氏に聞くとともに、数字で見る西川遥輝の“復活劇”も探った(全2回)

 驚きはない。昨シーズンまで楽天の打撃コーチを務め、現役時代は首位打者にも輝いた鉄平氏は、古巣がパ・リーグの首位に立つ根拠を並べる。シーズン開幕から1カ月余り。楽天は24試合で17勝6敗1分けと2位・ソフトバンクに4ゲーム差をつけている。

 開幕直後に多数の新型コロナウイルス感染者が判明し、主軸に期待された新外国人のクリス・ギッテンスはデビュー戦で左手首を痛めて長期離脱を余儀なくされた。それでも、崩れないチーム力があると鉄平氏は確信していた。

主力も含めて選手が練習で手を抜きません

 最初に挙げたのは「守備」だった。

「昨年と同様に、よほどのことが起きなければAクラスはもちろん、優勝争いできるとシーズン開幕前から感じていました。あまり取り上げられていませんが、楽天は昨シーズンも含めて守備力、守備に対する意識が高いんです。野球に関する声や叱咤激励の声が出ていて、チームに理想的な雰囲気ができています。それから、主力も含めて選手が練習で手を抜きません。守備の構えから、捕りにいく姿勢、足の運び、送球まで、気分が乗らないという雰囲気を出す選手を昨年も今年も一度も見ていません」

 鉄平氏は昨シーズン、一軍の打撃コーチとしてベンチに入っていた。田中将大や則本昂大ら豪華な先発陣が注目される中、「守備力も武器」と感じていた。浅村栄斗、鈴木大地、銀次ら年長の内野手が反復練習でも質の高いプレーを見せ、若手が背中を追う。成果は数字にも表れ、今シーズンの楽天は24試合で4失策(5月2日時点)と両リーグで唯一、1ケタとなっている。

 鉄平氏は「若い選手はレギュラー陣のほころびを見逃さずにチャンスを掴もうとしますが、楽天の主力は抜け目ないので、若手が守備固めで入る隙がありません。チームの強さを表していると思います」と分析する。

 例えば、高卒3年目の黒川史陽だ。昨シーズンのイースタンリーグに48試合出場して打率.319の好成績を残し、今シーズンのオープン戦でも打率.360と結果を出したが、一軍で十分な出場機会を得られずにいる。決して黒川が評価されていないのではなく、一軍レギュラー陣のハードルが高すぎるのだ。

 鉄平氏は「黒川がいい選手なのは間違いありません。本人の問題ではなく、現状ではチームにはめ込むところがないだけです。それくらい、主力の意識やパフォーマンスが高いです」と語る。

シーズン前から“西川効果”を感じていたワケ

 今年は野球解説者として活動している鉄平氏は、シーズン開幕前からチームの変化も感じていた。

 日本ハムから新加入した西川遥輝の存在だ。

【次ページ】 チームの走塁を変革した数字とプレー意識

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