熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「この町はとても居心地が良い」中島翔哉の才能を信じた元浦和ポンテとの秘話〈ポルティモネンセで中村航輔とともに話を聞いた〉
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byPortimonense SC
posted2022/05/19 11:03
ポルティモネンセに復帰した中島翔哉
しかし、ポルトでは激しいポジション争いにあって出場機会を失い、2021年1月にはアル・アイン(UAE)へ期限付き移籍した。ここでも2試合に出場した後、練習中に腓骨を骨折、靭帯も損傷して長期間の治療とリハビリを余儀なくされる不運を味わった。期限付き移籍の期間が満了してポルトへ戻ったのち、8月末、古巣ポルティモネンセへ貸し出された。
10月中旬に故障から復帰すると、以後はトップ下もしくは左ウイングとして先発出場を続け、かつてのような輝きを取り戻しつつある。
この町はとても居心地が良く、知っている人ばかり
――昨年2月、アル・アイン在籍中に負った怪我はもう完治しているのですか?
「痛みは全くなく、違和感すらないです。以前と同様にプレーできています」
――古巣のポルティモネンセでプレーする気分は?
「この町はとても居心地が良く、クラブ関係者も知っている人ばかり。家族も、ポルティモンでの生活を楽しんでいます」
――「楽しくプレーするのが大事」というのが口癖ですね。この考え方は、子供の頃から?
「いや、そういうわけでもないです。以前は、勝つことにこだわっていました。でも、16歳のときに妻と知り合い、色々な話をするうちに、考えが変わっていきました。
妻はフットボールには詳しくないんですけど、『楽しみながらプレーした方が、良い結果が出ると思うよ』と言っていました。やってみたら本当にそうだったので、他の人にもそう伝えるようにしています」
――2019年、ブラジルで開催されたコパ・アメリカに出場しました。この大会で得たものは?
「日本代表が外国の大陸別選手権に出場すること自体が、非常に貴重なこと。欧州ビッグクラブで活躍する選手が揃う南米強豪国の代表と真剣勝負ができたのは、とても貴重な経験でした」
――コパ・アメリカの直後、ポルトガルを代表する名門ポルトへ移籍しました。しかも、与えられた背番号は10。このときの心境は?
「それまでの自分のプレーが評価されたわけで、とても嬉しかったです。より一層頑張ろう、と思いました」
当面、自分としてはここで最高のプレーを
――ポルトは強豪クラブだけにレギュラー争いのレベルが非常に高い。左ウイングのポジションをコロンビア代表主力のルイス・ディアス(現リバプール)と競いました。
「クラブとチームに慣れるための努力をしながら、自分としてはベストを尽くしました」