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「この町はとても居心地が良い」中島翔哉の才能を信じた元浦和ポンテとの秘話〈ポルティモネンセで中村航輔とともに話を聞いた〉
posted2022/05/19 11:03
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Portimonense SC
4月10日のポルトガルリーグ第29節ファマリコン戦の2日後、チーム練習を終えた日本人選手にクラブハウスでインタビューした。
元日本代表FW中島翔哉(27、元東京ヴェルディ、FC東京、カターレ富山)、やはり元日本代表のGK中村航輔(27、元柏レイソル、アビスパ福岡)、若手FW川崎修平(20、元ガンバ大阪)の3人が在籍するが、川崎は故障からのリハビリ中ということもあり、中島と中村に話を聞いた。
中島は、ポルティモネンセへ移籍して人生が大きく変わった。
細かいタッチを繰り返してマーカーの逆を取るドリブル、咄嗟に繰り出すスルーパス、そして思い切ったミドルシュート……。日本人選手の中でもっとも南米的なテイストを持つアタッカーだろう。
10歳で東京ヴェルディのアカデミーに入り、18歳でプロ契約。しかし、出場機会に恵まれず、2014年にFC東京へ。すぐにカターレ富山(J2)へ貸し出されて経験を積んだが、FC東京へ復帰後も常時出場は叶わなかった。
ポンテ副会長が中島翔哉の才能を高く評価した
このような状況に置かれていた中島の才能を高く評価していたのが、かつてレバークーゼン、浦和レッズなどで活躍し、2016年からポルティモネンセの強化担当を務めるロブソン・ポンテである。2017年8月、まずは期限付き移籍で獲得した。
チームはその前のシーズンに2部を制覇して昇格を果たしており、「1部の舞台で強豪に伍して戦うための極めて重要な補強」(ポンテ)だった。
ポルトガル1部では、世界トップを目指す野心に溢れた選手が欧州、アフリカ、南米など世界中からやってきて鎬を削る。選手の身体能力、技術、インテンシティーは相当に高い。
このハイレベルなリーグで、当時23歳の中島は全幅の信頼を置く首脳陣とコーチングスタッフに支えられて躍動する。持ち味を存分に発揮し、2017-18シーズンには、リーグ戦29試合に出場して10得点12アシストという見事な結果を残した。
2018年ワールドカップ(W杯)出場こそ逃したが、W杯終了後、森保一監督に高く評価されて代表の常連となった。その後、2019年2月にアル・ドゥハイル(カタール)へ日本フットボール史上最高額の3500万ユーロ(約43億7500万円)で移籍した。
ポルティモネンセ復帰後は輝きを取り戻しつつある
この年の6~7月にブラジルで開催されたコパ・アメリカ(南米選手権)に日本代表の一員として出場し、グループステージ(GS)3試合すべてに先発して1得点。大会後、ポルトガル屈指の強豪ポルトへ移籍。背番号10を与えられ、攻撃の中心としての活躍を期待された。