プロ野球PRESSBACK NUMBER
元プロ野球審判の後悔「私のミスジャッジがなければ江藤(智)は…」巨人の96年メークドラマはなかったとザンゲした理由
text by
佐々木昌信Masanobu Sasaki
photograph byJIJI PRESS
posted2022/05/05 17:02
1996年の巨人の「メークドラマ」。これには審判のミスジャッジも関与していた!?
「岩瀬仁紀のスライダーより、伊藤智仁のスライダーのほうが上。いまだにナンバーワン」
聞いた話によると、伊藤智仁投手のスライダーはかなり鋭角に曲がる。岩瀬投手のスライダーは、バッターの近くまで来て大きく曲がるので、バッターが対応できないのです。
その話からすると、斎藤投手のスラーブは伊藤投手の高速スライダーに近く、鋭角に曲がる。右バッターには、ボールからストライクになるスラーブ。ストライクゾーンの手前ぐらいでうまいこと曲がり終わる。左バッターには、ストライクからインコースボールゾーンへのスラーブ。ストライクだと思って手を出すと食い込まれて詰まる。
サイドスローなので、スライダーとシュートのコンビネーションで打ち取るというのは、やはり基本線であると思いますが、シュートは見せ球に使っていたように思います。
ミート時に「焦げた匂い」がした松井秀喜、広澤克実
外国人ホームランバッターは、ボールにバットをミートさせたとき「焦げた匂い」がしました。タフィー・ローズ選手、西武のアレックス・カブレラ選手、ソフトバンクのデスパイネ選手やバレンティン選手などです。
一方、日本人選手では巨人の松井秀喜選手、ヤクルト・巨人・阪神に在籍した広澤克実選手ぐらいしかいませんでした。
私は最初、原因はバットの材質だと思っていました。外国人選手はアオダモのバットを使っていませんでしたが、日本人選手は当時、アオダモのバットを使っていましたから。でも、松井選手と広澤選手だけはアオダモでも焦げた匂いがしたのです。
高橋由伸に聞いてみたこととは
日米のバッターの違いは、スイングスピードやパワーだけなのかよくわかりませんが、要はバットとボールが当たる瞬間の摩擦力なんでしょう。日米のバッティングの違いを、「日本は線で打つ」「メジャーは点で打つ」と多くの日本人打撃コーチは表現します。
メジャーリーガーは、インパクトの瞬間だけに全精力を注ぐということです。
平塚克洋さんが阪神の打撃コーチのときに言っていました。
「バッティングはタイミングだ。そのタイミングの取り方は、足で取る、手で取る、体全体で取るの三つ。またはその組み合わせ」
先述のアンドリュー・ジョーンズ選手の通訳の話によると「ジョーンズ選手は、日本人打者がタイミングを取るとき片足を上げるのが、すごく不思議だった」そうです。
タイミングの取り方で、足を上げるのが日本式で、足を上げないのがメジャー式。だから大谷翔平選手がメジャーに渡ってから、足を上げない打ち方にして成功しているなと感じました。技術的な詳しい理由はわかりませんが、それのほうがメジャーで対応しやすいのでしょう。
そういえば、かねて巨人の高橋由伸選手に聞いたことがあります。