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佐々木朗希への詰め寄りが物議を醸したが…元審判が語る“乱闘と判定”の舞台ウラ「ただで帰れると…」「審判が熱くなっちゃ駄目でしょう」
posted2022/05/05 17:03
text by
佐々木昌信Masanobu Sasaki
photograph by
Hideki Sugiyama
2020年までプロ野球の審判員を務めた佐々木昌信さんの『プロ野球 元審判は知っている』(ワニブックス)から一部を転載し、裏側をご紹介する(全3回/#1、#2も)
ピッチャーのビーンボールは何となくわかる?
ピッチャーというのは正直で、投げるゾーンに最後、目で「ライン付け」をします。つまり投げる目標を必ず見るんです。ピッチャーの性(さが)でしょうね。
私たちは春のキャンプのときから、ピッチャーの目を見ながら「アウトコースだな」「インコースなんだな」とジャッジの訓練をします。ある程度、コースがわかっていると、ジャッジしやすいからです。
ピッチャーが最終的に見るところはキャッチャーのミットですから、普通は目線が下に行くんです。それが、バッターを狙いに(?)行くときは、アゴが上がるんですね。本当に狙ったかどうかは証明できませんが、バッターが怒って乱闘事件になるというのはそういう理由からでしょう。
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1994年5月、神宮球場。2回表、ヤクルトの西村龍次投手が巨人の村田真一選手に頭部直撃のデッドボールを与え、村田選手が担架で退場。3回裏、巨人の木田優夫投手が、打席に入った西村投手の尻にぶつけた。7回表、今度は西村投手がグラッデン選手の顔面付近にボールを投じた。怒ったグラッデン選手が、中西親志捕手に左アッパー。大乱闘に発展。これをきっかけに「頭部・顔面死球は、投手は即退場」となりました。
同じ94年の6月に広島の佐々岡真司投手のすっぽ抜けたスローカーブが、巨人のコトー選手の頭部にコツンと当たった。コトー選手は苦笑しながら一塁に歩き、佐々岡投手は「危険球退場」となりました。
「さすがにこれはないだろう」となってルールが改正されました。故意か否かは関係なく、頭部付近に「速いボール」が当たれば、自動的に退場です。スピードは何キロ以上という明確な基準があるわけではなく、球審の判断です。
ダグアウトから、あからさまに「当てろ!」
当時はデッドボールに端を発した乱闘劇が多かった。私はまだ二軍の審判で、神宮球場に見学に行っていて、ヤクルト−巨人の乱闘を生で見ていました。審判の先輩方に、「絶対当てっこになる」雰囲気があるから、それをつかんでおきなさい。乱闘後の処理の仕方を覚えなさいという教えを受けました。