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「12対1」のいじめ、両親の反対… スターダムで輝く“折れない女”MIRAIを突き動かした「プロレスへの憧れ」《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/04/27 17:01
岩手県宮古市出身のMIRAIは、少女時代に震災を経験。地元で開催されたチャリティー興行に心を打たれ、プロレスへの憧れを募らせていった
寝ても覚めても考えるのはプロレスのことばかり。それがMIRAIの性分だ。
「趣味はないんです。ひたすらプロレスです(笑)。子供のころからずっと新日本プロレスにハマっていたので……。最初にプロレスに誘ってくれた子が棚橋(弘至)さんファンだったので、入口は棚橋さん。その後オカダ(・カズチカ)さんに“推し変”して(笑)。自分もオカダさんみたいに高く跳べるようになりたい。走ってのドロップキックは苦手なんですが、相手が走ってきたところに打つのは好きです。試合のスタイルとしては、鷹木(信悟)さん、後藤(洋央紀)さんを参考にしています。鷹木さんの感情の見せ方には憧れますね。でも、この自分の全てのキッカケをくれたのは棚橋さんなので、生意気な事を言ってしまえば、いつか棚橋さんとプロレスの話をしてみたいです(笑)」
新ユニット“God’s Eye”を結成「限界を超えます」
MIRAIはジュリアらドンナ・デル・モンド(DDM)のユニットメンバーとして、スターダムに1月から参戦した。だが4月になってDDMを離れ、朱里らと「God’s Eye」という名の新ユニットを結成した。
「DDMが自分を作ってくれた。感謝しています。嫌いになって抜けたわけじゃないので泣きました。朱里さんをどう思うか? ただただリスペクトですね。蹴りも投げも、関節もグラウンドも。これまで自分は限界を超えられなかったけれど、朱里さんのユニットは限界を超えていくことがコンセプトなので、ここで超えていきます」
プロレスがすべてのような現在のMIRAIだが、食べ物の話になると顔がほころび、ちょっとしたこだわりを語ってくれた。
「グレープフルーツが好きです。半分に切るんじゃなくて、みかんと同じように剥いて食べるのがマスト。なぜか『酸っぱい』をあまり感じない人間なので、レモンもまるごとかじったりします(笑)。ああ、石焼ビビンバも好きですね。あとは卵料理全般。ゆでたまご、卵焼き、オムレツ……」
開催中のシンデレラトーナメントでは順調に勝ち進んでいる。4月29日の大田区総合体育館大会では、準決勝でなつぽいと当たる。そこで勝つことができれば、決勝ではもう一つの準決勝カード、葉月vsコグマの勝者と対戦することになる。
MIRAIが優勝する可能性は十分にある、と筆者は思っている。かつてジュリアが「金がとれるラリアット」と評したように、“新格闘プリンセス”というキャッチフレーズに恥じないポテンシャルを秘めているからだ。
「ドレスはちょっと恥ずかしいですけど、(優勝すれば)ベルトに挑戦できるんですよね。勝ったら、親に連絡しますよ。自慢します」
そう言うと、MIRAIはうれしそうな笑顔を見せた。シンデレラの先に見ているのは、やはり同門の朱里が保持している赤いベルトなのだろうか。
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