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「街を守るために留まりたかった」17歳&20歳のウクライナ代表が語る“故郷を離れた2カ月間”「どれほど苦しいか、到底言葉で言い表せない」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byGetty Images
posted2022/04/29 11:03
祖国を離れざるを得なかったアスリートたちは何を思うのか。北京五輪フィギュアスケート・団体ペアウクライナ代表のソフィア・ホリチェンコ、アルテム・ダレンスキー組がメールインタビューに応じた
「私の母は犬や猫とともに自宅に残り、父は大規模な軍事作戦がある激戦地の一つで戦っています。家族や友人のことを思わない日は一日も有りません」(ダレンスキー)
「母はキーウで働き、父は領土防衛に携わっています。私だけがウクライナを離れるという決断をするのは、道徳的に見てとても難しいことでした。家族や友人の多くが残っていますし、彼らをとても心配しているから。戦争が早く終わり、家に戻って家族や友人を抱きしめられるようになることを願っています」(ホリチェンコ)
「起きている被害を理解することがどれほど苦しいことか」
家族を残して戦火を逃れたことに行き場のない思いを抱えながらも、フィギュアスケーターとして、氷上でウクライナの現状を伝えていく。世界に向けて発信したいメッセージはないか――。ホリチェンコは苦しい心境を吐露するとともに、ウクライナへのサポートを呼びかけた。
「どれほどの市民や子どもが犠牲になっているのか、ウクライナで起きている被害を理解することがどれほど苦しいことか、到底言葉で言い表すことはできません。私たちはスポーツを終わらせないように努めていますが、現状はとても難しい状況です。私たちはどんなサポートも喜んで受け入れます」
ダレンスキーはブチャでのロシア軍による大虐殺について「ただ殺されるだけではない。400人以上の子どもや高齢者が拷問され、レイプされ、撃たれ、バラバラに切られて殺された」と憤りを露わにし、こう語りかける。
「多くの都市や村が破壊されていますが、それでも復興することはできるでしょう。しかし、殺された多くのウクライナ人の命を取り戻すことはできません。私はこのテキストを読むすべての人々に、あなたができるあらゆる方法でウクライナを助けてほしい。躊躇している場合ではありません。手遅れになる前に、私たちは戦争を終わらせたいのです」