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「自分の国に帰れ!」熱狂の代表選考で小松原美里&尊に届いた誹謗中傷…二人を救った“羽生結弦の言葉”とは
posted2022/04/22 11:02
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
Asami Enomoto
夫婦スケーターの小松原美里、小松原尊組は、国内での熾烈な代表争いを制し、北京五輪フィギュアスケート・アイスダンス日本代表の「1枠」を掴んだ。注目のカップル・村元哉中、高橋大輔組との一騎打ちは、アイスダンスへの注目をかつてないほどに高めたに違いない。
代表選考が熱狂するとともに、一部のファン同士の対立が激化し、二人のもとには心無い誹謗中傷も届いていたという。女子フィギュア界の低年齢化やアスリートへの誹謗中傷など、心身両面のヘルスケアの問題を二人はどう見ているのだろうか(全3回の3回目/#1、#2から続く)。
23歳で子宮近くに腫瘍「出会ったのがヴィーガンでした」
――美里さんは23歳で、子宮の近くに腫瘍が見つかったのをきっかけに、ヴィーガンになったと聞きました。なぜ真っ先に食生活を見直したのでしょうか?
小松原美里(以下、美里) 腫瘍が見つかったのは、イタリアに住んでいた時でした。命に関わる病気だったのですごく怖かった。再発しないために何かを変えなきゃと思ったんです。
「自分の身体を変えるにはどうしたらいい?」と考えていくと食事にたどり着きました。イタリアの食事といえば、サラミ、チーズ、パスタといった感じでしたから。色々な健康法を調べて、出会ったのがヴィーガン。ちょうどヨーロッパで流行っていましたし、犬を飼っているのに動物を食べることに違和感もあったので、やってみようと思いました。
――今はどういった食生活をされていますか?
美里 例えばアイスショー当日の朝は、お腹をあまり膨らませたくないので、コーヒーにMCTオイルを入れて飲むだけ。海外選手が出演するショーでは、「ヴィーガンマーク」が付いた食事が用意されているので、それを食べています。玄米とかタケノコの煮物とかですね。
夜ご飯はけっこう自由に食べています。この前は二人で「ベジタリアンブッチャー」に行きました。
小松原尊(以下、尊) 僕はアレルギーがあるのでグルテンフリーの食事を摂っているけど、ヴィーガンのメニューとかぶるものも多いんです。
ヴィーガンでアスリートの身体を維持できるのか?
――肉や魚介類、乳製品を食べられないとなると、アスリートの身体を維持するのは難しいと思ってしまうのですが……。
美里 栄養バランスとしては、とてもプラスだと思います。野菜には抗酸化作用があるので、たくさん食べると疲れにくくなるんです。私自身、ヴィーガンを始めてから、リカバリーが上手になりました。脳震盪のようなアクシデント的なケガはあっても、慢性的なケガはほとんどなくなりましたね。
――食生活をヴィーガンに変えたことについて、周りの反応はいかがでしたか?