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「去年の僕は木の根っこがない状態でした」上茶谷大河25歳が振り返る“プロ生活”…なぜ4年目で“怪我リスクの高いフォーム”に戻すのか?
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2022/04/25 11:01
4月16日のヤクルト戦(横浜)で自身初となるマダックスを達成したDeNAの上茶谷大河投手。プロ4年目の25歳はどんな思いで“勝負の1年”を迎えたのか
1年を通し、いかにして長いイニングを投げ抜くことができるのか。
マダックス後、初登板となった23日の広島戦(マツダ)では、懸念していた“弱さ”が露見してしまい、6回途中6失点(自責点3)でマウンドを降りてしまった。本人は「丁寧に投げていたのにピンチの場面では力づくでいってしまった……」と反省の弁を述べており、まだまだ改善の余地があることを示唆している。とはいえ、要所要所でしっかり凡打させるピッチングは健在であり、揺るぎのない“核”は感じ取れたので、今後どのように修正をしてくるのか期待したい。
なぜ三浦監督のグローブが欲しかったのか?
最後にひとつ訊きたいことがあった。上茶谷は今年、三浦監督から現役時代使用していたグローブを譲り受けており、これは入団1年目からお願いしていたことだった。ようやくその希望が叶ったわけだが、なぜ上茶谷は三浦監督のグローブが欲しかったのだろうか。そう尋ねると上茶谷はちょっと照れたような表情を見せた。
「僕はグローブにあまりこだわりがなかったんですけど、たくさん勝利を重ねてきたレジェンドのグローブにはきっとこだわりがいっぱいあるんだろうなって興味を持っていたんです。そこでぜひ頂けないかなって」
ハマのエースだった三浦大輔の矜持がたっぷりと沁み込んだグローブ。実際に手にしてみてどうだったのだろうか。
「いやもう今まで僕が使っていたグローブとはぜんぜん違いますし、どういった考えでこういう仕様になっているか三浦監督本人にお聞きしたり。細かいところまで単純にすごいなって思うことばかりで……」
上茶谷はしみじみとした風情でつづける。
「グローブひとつで自分じゃ操作できないところも変えられることがありますし、自分もこだわっていかなければいけないなって」
“神は細部に宿る”というが、なにが自分にとってベストなのか、どんな些細なことであってもこだわって可能性を突き詰めるのもプロのあるべき姿。果たして上茶谷は、三浦監督の鼓動を感じるグローブから何をインスパイアされ、それをどう結果に結び付けていくのか。また時期が来たらぜひ訊いてみたいものだ。