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「去年の僕は木の根っこがない状態でした」上茶谷大河25歳が振り返る“プロ生活”…なぜ4年目で“怪我リスクの高いフォーム”に戻すのか?
posted2022/04/25 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
口から出たのは意外な言葉だった。
「序盤はまだしも、正直、終盤はあまり手応えなかったですし、全然いいなとは思わなかったんですよ」
横浜DeNAベイスターズの上茶谷大河は、納得のいかない風情でそう語った。
自身初のマダックス達成も「アウトこそ取れていましたが…」
4月16日のヤクルト戦(横浜)で自身初となるマダックス(100球未満完封)を達成。その数日後に話を訊いたのだが、快投に関し多少なりとも柔和な雰囲気で語ってくれるのかと思いきや、上茶谷の表情は厳しいままだった。
「アウトこそ取れていましたが、相手にあまり嫌な印象を与えているようには思えなかったんです。ジャストミートされていましたし、守備の方々に助けられた部分が多かったと思います」
この日、上茶谷はゴロやフライを量産したが、たしかにゲーム後半は角度の付いた痛烈な当たりが目立っていた。ただ、この打ち取った数の多さが9回91球という投球数でゲームを収める要因になったともいえる。無四球でチームを勝利に導き、また本人も2勝目をマークし、コロナ禍により主力選手の大量離脱のあったDeNAを支えている。
「そういう意味からすれば、いいスタートは切れたかなと思いますね」
そう言うと上茶谷は、ようやく表情を緩めた。
マダックス達成の裏話「祐大には本当に感謝しかありませんね」
あの日、マダックスに至るピッチングの組み立ては見事なものだった。「キャンプのときから調子が良かった」という切れのあるストレートを両サイド、さらに以前は投げ切れなかった右打者のインコースへ強気に差し込みゲームを作っていく。1巡目、2巡目、3巡目と決して単調にならない配球によって相手に的を絞らせない。キャッチャーを務めた山本祐大とはどんな話をしたのだろうか。
「相手は積極的に振ってくる印象だったので、とにかくゾーン内でやっていこうという話になりました」
山本は、上茶谷に対し次のように言ったという。