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「あっ、仲田か。阪神におった仲田やろ!」“内定通知”から一転、34歳で引退…酒浸りだった仲田幸司が“工事現場の監督”になるまで 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2022/04/21 11:02

「あっ、仲田か。阪神におった仲田やろ!」“内定通知”から一転、34歳で引退…酒浸りだった仲田幸司が“工事現場の監督”になるまで<Number Web> photograph by Number Web

現在は毎朝5時起きで工事現場監督として働く元阪神・マイク仲田の半生に迫る

「重機を扱う仕事で、ひとつ間違えたら命に関わりますから、野球より大変です。1日の現場を終えると、ホッとしますね。職人さんに『ありがとう。またどっかでな』と声を掛けられた時に達成感があります」

6月で58歳。現在の夢は…

 夢が終わっても、人は生き続けなければならない。幼い頃、誰もが憧れた『プロ野球選手』になってエースと呼ばれても、力が衰えれば解雇の憂き目に遭う。現役時代に輝かしい成績を残しても、引退すれば徐々に人々の記憶から消えていく。夢が現実になるたび、人生はリセットされていく。

「何かを達成したら、もっと上にいきたいと思う。14勝したら次は15勝したいし、優勝したらもう一度美酒を味わいたい。だから、何歳になってもゴールはないし、生きている限り新たな夢を追い続ける。それが人間だと思います」

 6月で58歳を迎える仲田幸司の野望は何か。

「日々、今の仕事を懸命に取り組んで安全を守っていく。そして、プロ経験者が高校生、大学生を教えるために必要な学生野球資格を回復させたい。今も社会人のクラブチームで月1回程度コーチをしていますけど、地元の沖縄に帰っても資格がないから学生のグラウンドに入れないんですよ。悔いを残したまま引退したから、自分の中では野球に対してピリオドを打てていないんです」

 どん底から這い上がった甦生、栄光を掴みかけて逃した苦汁、雪辱を果たせなかった無念……指導者として返り咲いた時、その経験は全てプラスに転じる。

 神よ、マイクにもう一度、幸運を――。

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