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「あっ、仲田か。阪神におった仲田やろ!」“内定通知”から一転、34歳で引退…酒浸りだった仲田幸司が“工事現場の監督”になるまで 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2022/04/21 11:02

「あっ、仲田か。阪神におった仲田やろ!」“内定通知”から一転、34歳で引退…酒浸りだった仲田幸司が“工事現場の監督”になるまで<Number Web> photograph by Number Web

現在は毎朝5時起きで工事現場監督として働く元阪神・マイク仲田の半生に迫る

 2010年、1本の電話が鳴った。携帯を取ると「掛布(雅之)さんと一緒に食事してるで」と阪神OBの西浦丈夫の声が聞こえてきた。電話を代わった掛布はマイクの現状を聞き、「西浦に相談したらどうだ?」と言った。建設会社『山河企画』を経営する彼が「工事現場監督の仕事やってみるか?」と尋ねると、仲田は「やらせてください」と即答した。

「まず、『プライド捨てられるか』と聞かれました。職業どうこうではないですよ。“阪神のエースと呼ばれた過去を足枷にしてはいけない”という意味だったと思います。僕は、プライドとか言っている場合じゃなかった。ただ、正直に言えば、初めて現場に入った時は抵抗ありました。口にしたくないほど屈辱的な言葉を掛けられて、悔しい思いもした。でも、生きていかなければならないですから」

3年前、正社員に…現場監督の今

 笑顔を見せていた仲田の表情が引き締まった。現場で職人に会うと、「あれ? どっかで会うたな」と不思議な顔をされた。「初めてやと思います」と答えても、「いや、どっかの現場で会うたやろ」と引き下がらない。「いや、会うてません。たぶんテレビで観はったんちゃいます?」と言うと、相手は白いヘルメットに貼り付く名前に目を遣った。「……あっ、仲田か。阪神におった仲田やろ!」。人懐っこい性格のマイクは、仕事を重ねるたびに職人に好かれるようになった。

 3年前、正社員になった。朝5時台に起床し、10時間ほど事故が起きないように現場を指揮して18時過ぎに帰宅する。翌日のために22時には就寝し、酒は休みの前日しか飲まない。

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