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トレード危機の男が“落合博満から3奪三振”…元阪神・仲田幸司に聞く“9年目の覚醒”はなぜ?「藤浪晋太郎の気持ちがよくわかりますわ」

posted2022/04/21 11:00

 
トレード危機の男が“落合博満から3奪三振”…元阪神・仲田幸司に聞く“9年目の覚醒”はなぜ?「藤浪晋太郎の気持ちがよくわかりますわ」<Number Web> photograph by Kichi Matsumoto

「僕は、藤浪晋太郎の気持ちがよくわかりますわ」。元阪神・仲田幸司の半生に迫った

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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Kichi Matsumoto

「僕は、藤浪晋太郎の気持ちがよくわかりますわ」
 毎年エース候補と期待され、時折胸のすくような快投を見せる。しかし、コントロールの乱れから調子を崩し、シーズン中盤には先発と中継ぎを行き来した挙げ句、オフにはトレード候補と騒ぎ立てられる――。
 昭和末期から平成初期の阪神に、現在の藤浪と同じような投手がいた。沖縄・興南高校で甲子園を沸かせ、1983年秋のドラフト会議で3位指名を受けた仲田幸司である。(全3回の1回目/#2#3へ)。※敬称略、名前や名称は当時

 ◆◆◆

「矢野(燿大)監督は藤浪に開幕投手を託したわけですから、腹括って1年間心中してほしい。いくら負けても、年間25試合は先発で使い続ける。首脳陣がそう覚悟を決めれば、変わると思います。藤浪には“自分を信じろ”としか言えません。ただ、自分を信じられるかどうかは、練習量に懸かってくる。92年、僕はこれ以上もうできへんと思うくらい試行錯誤したし、トレーニングも積んだから、マウンドで自信を持てた。藤浪も近いうちに期待されなくなる年がくる。もう次の世代が控えていますから。今年、勝負です」

 この提言には理由がある。今年の藤浪と同じ28歳の時、仲田は突如として大ブレイクを果たした。亀山努が泥臭いヘッドスライディングで、新庄剛志が爽やかな外見と攻守で『亀新フィーバー』を巻き起こした92年、阪神は2年連続最下位からあと一歩で優勝の2位に躍進した。その原動力は、前年の1勝から14勝(13完投)と急成長を遂げた仲田だった。

開幕前日に泉ピン子から電話

 アメリカ空軍将校の父と大阪府出身の母を持つ“マイク仲田”は高卒2年目、プロ初勝利を完封で飾る。3年目に7勝、4年目に8勝と着実にエースへの階段を登り、“ミスタータイガース”と呼ばれた村山実監督が就任すると、5年目から2年連続で開幕投手に指名された。

【次ページ】 死球を機に「内角に投げづらくなりました」

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