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《佐々木朗希と“幻の完全試合”伝説》山井→岩瀬の落合采配は井端も納得の「最善策」、西口文也は“9回完全”だったが…
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJIJI PRESS(C),Sports Graphic Number(L,R)
posted2022/04/18 11:01
中日時代の落合博満監督と佐々木朗希、現役時代の西口文也。「幻の完全試合」で注目を浴びることになった
「ずっと最後は岩瀬さんで勝ってきたチームだし、山井には失礼だけど、完全試合だろうと、正直、岩瀬さんの方がはるかに信頼があるし、最善の策だと思っていました。まして50年以上も日本一になっていない球団が勝つチャンス。その試合で勝つために、あそこで岩瀬さんを出すのは当然です」
6回くらいから、まずいぞ……という空気が
<名言3>
パーフェクトの投手を代えるなんて考えもしませんでした。だけど、後から、そうだ相手は落合さんなんだ、と思いました。
(田中幸雄/NumberWeb 2020年12月7日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/846124
◇解説◇
今も語り継がれる落合采配、対戦した日本ハム視点で見てみると……どのようなものだったのだろうか。
「山井投手はキレッキレでした。スライダーが右打者の顔の前から外角いっぱいに落ちていく。6回くらいから、まずいぞ……という空気はベンチにありました」
日本ハムのショートを守る金子誠がこのように感じたほどだったという。この試合、両チームのスコアが動いたのは2回裏、ダルビッシュ有から平田良介が放った犠牲フライの1点だけで、中日としてみれば最少得点差のリードを守り切らなければならない展開だった。それが井端の口にした、勝利のための「最善の策」だったのだろう。
一方、日本ハムのトレイ・ヒルマン監督は「なんでパーフェクトに抑えている投手を代えるんだ?」と首をかしげたという。しかし現役時代の落合を知る日本ハムの選手、コーチ陣は少々違う心境を持っていたようだ。
「なぜか最後は岩瀬さんで締めるんじゃないかという気がしたんです」(金子)
「9回は(左の)岩瀬が来ると思います。だから右の代打を用意した方がいいです」(白井ヘッドコーチ)
田中幸を含めて共通したもの。それは「落合さんだから」常識にとらわれない采配をしてくるのでは、という畏敬の念だった。
そんな語り継がれる日本シリーズから14年半後……まさか再び、日本ハムが「伝説的な幻の完全試合」の対戦相手になるとは、誰が想像しただろうか。
2022年4月17日、新庄剛志監督率いる日本ハムが立ち向かったのは、1週間前のオリックス戦で28年ぶりの完全試合を達成した佐々木朗希だった。佐々木はこの日も抜群のピッチングを見せ、スコアボードに「0」の文字を刻み続ける。
それも、またしても……ヒット、四死球、エラーまで再び「0」である。