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ドラ1コンビ「鍬原→大勢」の“新・勝利の方程式”だけじゃない! 巨人の好調を支える“2人の男”とは…試合の流れを作り、近大マグロの差し入れも
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/04/16 11:03
ルーキーにして巨人のクローザーを務める大勢。鍬原からの“勝利の方程式”が確立された
原監督の2人への評価とは?
「2人ともすごくいいボールを持っている投手だよね」
こう言った原監督だが、その後は大いに不満を語っている。
「あれだけ勝負できる、いい球を持っているのに、それを出しきれないのがもったいない。理由は色々あると思うけど、やっぱり色々な意味で投げる体力がないということ。まず9回を投げるフィジカル的な体力がないし、技術もない。それとあとはメンタル的な部分も大きいと思いますね。集中力が1試合どころか5回も持続しない。そこが大きな課題となると思いますね」
実はこれは畠と今村への先発投手としての期待を聞いたときの話である。
才能はある。だが、それを生かし切れる身体も技術もメンタルもない。かなり手厳しい評価であるが、だからこそ原監督はこの2人の生かし方を違う方向で考えていたのである。
“近大マグロ”の差し入れ「これが美味かった!」(原監督)
今度は今春のキャンプでの話だ。
「今年は畠にかなり重要な役割を託すことにしようと思っているんだ」
実は原監督がこう語ったとき、すでに中川が故障で開幕に間に合わないことは分かっていた。その代役として畠を考えていたのである。
「やっぱり凄いボールを持っているのに、なかなか集中力が持続しないなら、短い場面で集中させて投げさせる方が彼には向いていると思うし、彼も精神面で変化してきていると思うからね」
こう語った原監督がキャンプでのあるエピソードを披露した。
「実は昨日の夜に畠が近大マグロの差し入れをしてくれたんだよ。これが美味かった! 中トロ、大トロ、赤身と全部絶品だったね」
近大マグロとは畠の母校でもある近畿大学の水産研究所が1970年から研究を始め、養殖は難しいと言われたクロマグロの完全養殖に成功して商品化した高級品だ。合わせてウン十万円の差し入れに原監督だけではなく、選手やチームスタッフが舌鼓を打ったのだという。