Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
《皐月賞に進撃》オニャンコポンの才能を瞬時に見抜いた菅原明良の“不思議な感性”とは?「オニャンコに巡り会えたことが幸せ」
text by
田井秀一(スポーツニッポン)Shuichi Tai
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/04/16 17:00
デビュー以来、常にコンビを組んできた菅原明良騎手とオニャンコポン。父エイシンフラッシュと同じローテーション、さらに同じ11番枠で皐月賞に挑む
鞍上・菅原は「ある種の天才というかニュータイプ」
いとも簡単に脚質転換をやってのけたが、操った菅原の胆力を小島は絶賛する。
「明良には不思議な感性がある。よくあそこまで抑えた。根性が凄い。ある種の天才というかニュータイプ。今思えば、デビュー前に乗った時も彼なりの感性で本当にこの馬は強いと分かったのかもしれない。皐月賞もしっかり馬を仕上げて彼にバトンを渡せばいいと思えました」
重賞勝ち馬として堂々挑む皐月賞。12年前、同じく京成杯Vから臨んだ父は皐月賞3着→日本ダービー1着。「エイシンフラッシュを超えたら大騒ぎになって、取材対応も大変になるでしょう。でも、そうなってほしい」と小島は笑う。
3月12日に21歳になったばかりの菅原は、勝てば史上最年少での同レース制覇となる。
「三冠、クラシックに乗るのは夢でした。特に皐月賞は地元(船橋市)の中山競馬場。小さい頃からずっと見ていました。ファンが多い馬ですし、当日は地元の友人も応援に来てくれるはず。声援を力に変えたい」
昨年は同じく皐月賞初騎乗だった横山武史がデビューからコンビを組んでいたエフフォーリアと優勝。大ブレークのきっかけをつかんだ。
「2年先輩の武史さんから受ける刺激は大きいです。エフフォーリアと共に駆け上がっていくのを間近で見ていた。必死に追いかけていきたい。僕もオニャンコポンと一緒に飛躍できるように。後に続きたい」
決して大口を叩かない謙虚な21歳が、デビュー前からその素質を高く評価していた相棒と歩むクラシックロードが始まる。
「今の僕があるのは面倒を見ていただいている師匠の高木登調教師をはじめ、オーナーや厩舎関係者、ファンの皆さんの支えのおかげ。恩返しの勝利を届けられれば一番嬉しい。何よりオニャンコに、一緒に皐月賞に出られる馬と巡り会えたことが幸せ。GIでも力は足りると信じて攻めます」