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キズナ、凄みある末脚で大阪杯圧勝。
豪華メンバーの中で見せた成長の証。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/04/07 16:30
キズナが昨年勝ったダービーで2着だったエピファネイアとの差は大きく広がっていた。フランス遠征で得たものも多かったのだろう。
洗練された強さで世代のトップに立った優駿が、「凄み」のある走りで相手をねじ伏せる「化け物」になっていた――。
4月6日、阪神芝2000mで行われたGIIの大阪杯を、武豊が騎乗するキズナが圧勝。大目標である凱旋門賞制覇に向けて、夢がふくらむ強烈なパフォーマンスを見せてくれた。
スーパークリーク、トウカイテイオー、メジロマックイーン、そしてオルフェーヴル……などなど、大阪杯は、歴代の名馬がここから始動してシーズンを迎えたレースとして知られている。過去10年の1~3着馬のなかにGI馬(大阪杯後にGIを勝った馬も含む)がいない年は一度もないし、'08年と'09年は3頭ともGI馬という、いわば「スーパーGII」である。
そのなかでも、今年は、特例でGIに格上げしてもいいんじゃないか、と言いたくなるほどの豪華メンバーが揃った。
豪華メンバーの中、1番人気はエピファネイア。
1番人気に支持されたのは、去年の菊花賞を5馬身差で圧勝したエピファネイア(牡4歳、父シンボリクリスエス、栗東・角居勝彦厩舎)。皐月賞とダービーはどちらも2着。強いが、行きたがる気性のせいで勝ち切れないところがあった。その欠点を克服すべく気性面の成長を促した結果、クラシックホースとなった。
同馬は4月27日に香港のシャティン競馬場で行われるクイーンエリザベス2世カップに出走する。中3週のそこにいい状態で臨むためにも、今回はきっちり仕上げてきた。
2番人気は武豊のキズナ(牡4歳、父ディープインパクト、栗東・佐々木晶三厩舎)だった。単勝2.4倍。エピファの1.9倍から離されてしまったのは、直線の短い内回りコースでは、強すぎる推進力を抑えながら行くエピファのほうが適性があると見られたためか。現に、同じコースで行われたラジオNIKKEI杯2歳ステークスではエピファがキズナを下している。
また、エピファが菊花賞優勝以来、キズナが凱旋門賞4着以来と、ともに約6カ月ぶりの実戦だったとはいえ、キズナは予定していた有馬記念を体調不良のため回避していた。そのあたりも人気に影響したのかもしれない。
そして、3番人気が、昨年、オークス、秋華賞、エリザベス女王杯と牝馬GIを3勝したメイショウマンボ(牝4歳、父スズカマンボ、栗東・飯田祐史厩舎)。単勝6.4倍。ひと桁オッズはこれら3頭だけの「三強」の争い、という構図だった。
ほかに、2年前の天皇賞・春を制したビートブラック、2年前のこのレースの勝ち馬で、同年の宝塚記念3着、昨年の安田記念2着などの実績があるショウナンマイティなど、精鋭8頭による少頭数のレースになった。