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佐々木朗希の完全試合直前「ショートがちがちじゃん」の声… オリファンの少年は「やべー、やべー」《生観戦!野球コレクターは見た》
text by
AkiAki
photograph byKyodo News
posted2022/04/12 11:03
佐々木朗希の完全試合に沸くZOZOマリン
緊張感が漂う中で初球カーブ、2球目もカーブで球場がざわつく。これが高卒ルーキー松川虎生のリードなのか――と感心するやいなや、最後はフォークで空振り三振に切って取ると、日本新記録達成にボルテージも最高潮となった。一方で後ろのオリックスファンの少年のため息が漏れていたのも印象的だったのだが……。
グラウンド整備中にトイレへと行ってみると
周知の通り、5回も3者連続三振。これで13連続三振まで記録が伸びた……と、この連続三振記録に気を奪われているが、今のところ完全試合も続けている、と気づいた。しかも最初の2人以外は全て三振! なんという投球内容なのだと感じていた。
そう言えば、この間にビールを口にすることもなく、トイレにも行っていない。
この瞬間しかない! と5回終了後のグラウンド整備の時間(通常のイニング間より長い)にトイレへ向かおうと通路に出ると……マリンで、こんな長蛇の列は初体験だ。諦めると同時に、スポーツメモラビリアコレクターとしての血が騒いだ。
筆者は野球チケットの半券コレクターでもある。ただこの日は最近主流のQRコードの電子チケットにしていた。
どうする? 13者連続奪三振の日本記録、紙のチケット……欲しい。
ということで、再入場口からいったん、球場外のチケットカウンターへ。この試合のチケットをまだ買えることを確認し、その時点での最安値のチケットを購入したのである。2600円の“臨時出費”となってしまったが、この日の紙チケットは持っておかなければならないと本能的に思ったのだ。
「あ、でもまだ誰もランナー出てない」
準備は整った。あとは完全試合も達成という期待も胸に席へ戻ると、ちょうどグラウンド整備が完了し、6回の投球が始まるところだった。
そして6回。先頭打者がバットを当て、連続奪三振は13でストップ。前述したオリックスファンの子供は「よっしゃー、止まった!」と拍手を送る。ただ、そのあとにボソリとこんな風につぶやいていた。
「あ、でもまだ誰もランナー出てない、パーフェクトじゃん」
6回裏、ロッテが松川の走者一掃のタイムリーなど、5点を奪うビッグイニングを作った。この時点で球場の雰囲気は勝敗の行方ではなく、“1試合での奪三振記録と完全試合なるか”という雰囲気になった。