松坂大輔「怪物秘録」BACK NUMBER
松坂大輔「ピッチャーは好きじゃなかった」(連載2)
posted2022/04/13 07:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
体験入団の日に放った満塁ホームランをきっかけに少年は野球に没頭する。夢は打者として100億円プレイヤー。投手として才能が開花するのはまだ先のことだった。
松坂大輔が小学2年生のときのことだ。近所の公園で遊んでいた松坂は、走って道路を渡ろうとして交通事故に遭った。数m先まで飛ばされ、地面に叩きつけられたのだという。生死にかかわるケガをしていても不思議ではない程の事故だった。
◆◆◆
あれはまだ野球チームに入る前のことでした。小学校の友だちとみんなで、ドロケイ(泥棒と警察の略称、缶蹴りや鬼ごっこのような遊び)をしていたんです。じゃんけんで泥棒と警察に分かれて、捕まった人も味方にタッチしてもらえれば逃げられる、そんなルールでした。そのドロケイをやっていて、泥棒役の僕は隠れてるところを見つかって、走って逃げました。そうして警察役の友だちから追いかけられている途中で、車にはねられちゃったんです。