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佐々木朗希の完全試合直前「ショートがちがちじゃん」の声… オリファンの少年は「やべー、やべー」《生観戦!野球コレクターは見た》
text by
AkiAki
photograph byKyodo News
posted2022/04/12 11:03
佐々木朗希の完全試合に沸くZOZOマリン
7回、佐々木朗希の投球中だったが……今まで我慢していたトイレへ。先ほどの光景と全く異なり、通路に人がおらず、売店にも誰も並んでいなかった。観客の誰もが佐々木朗希の投球を一瞬たりとも見逃したくないのだろう。
8回も3者連続三振で18個目の奪三振をマーク。対戦相手オリックスの野田浩司投手が作った19個の日本記録まであとひとつとなった。通常であれば試合の趨勢がほぼ決まったこともあり、帰りの混雑を避けて8回裏が終わると席を立つ人が多くみられるのだが……この日は席を立つ人はいない。
あちこちから「がちがちじゃん」の声が
8回裏終了。9回にマウンドへ上がる瞬間、この日一番の拍手が起こる。これがコロナ禍による歓声制限がなかったらどれほどの声援が送られたのだろうか――そんなことを想像したが、拍手だけでも盛大な音が鳴り響いた。
9回、先頭打者はサードゴロ、次の打者はショートゴロ。この際、ショート藤岡裕大のモーションが固かったことから、「がちがちじゃん」という声があちこちから聞こえてきた。
守備陣の緊張した空気が球場を包む。そしてあとひとりだ。昨年パ・リーグのホームラン王・ラオウこと杉本裕太郎が代打に送られる。
ただ、この日の佐々木朗希は別格だった。杉本をまったく寄せ付けることなく3球三振、その瞬間、拍手とスタンディングオベーションが起こった。筆者も動画を撮影しながら、そして歴史的な瞬間に立ち会えたことに感謝しながら、歓喜の輪を見守った。
さて、オリックスファンの少年である。
応援しているチームが完全試合を食らった……なのに声は少し弾んでいた。「やべーやべー」と。さらには拍手を送っていた。応援する球団の垣根を越えた快挙であることを再認識させられたとともに、少年の心にもずっと残っていく試合になるだろうと感じた。
試合終了後、考えることはみんな同じだった
そして試合終了後。
考えることはみんな同じだった。