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甲子園の風BACK NUMBER
《スカウトが夏も見たい有望球児7人》「来年のドラ1候補」大阪桐蔭・前田悠伍、佐々木麟太郎の「2年生ビッグ4」など本音で評価
text by
間淳Jun Aida
photograph byNanae Suzuki/Hideki Sugiyama
posted2022/04/05 11:02
大阪桐蔭の前田悠伍と花巻東の佐々木麟太郎。今年のドラフト候補とともに新2年生がどのような成長を見せるか
大会前の時点で、すでに高校通算ホームラン56本を記録していたスラッガーには豪快な一発が期待されていた。だが、市立和歌山のエースでプロ注目の米田天翼に直球でねじ伏せられ、柵越えどころか外野に打球を飛ばすことさえできない。わずか5打席で聖地を去った。
ただ、甲子園の結果だけで佐々木の評価は揺るがない。スカウトは、こう分析する。
「スイングの強さは間違いなく全国トップクラスです。タイミングが合えば、バットの芯を多少外れてもホームランになると投手にプレッシャーを与えるスイングでした。両肩の手術明けということでしたが、体をかばったり、打撃フォームが崩れたりしている印象はありません。実戦から離れた影響で、ボールの見極めとタイミングの取り方がうまくいかなかったのだと思います。プロのスカウトが徹底マークする存在に変わりはないです」
「夏までの成長が楽しみ」と期待する左腕は?
最後にもう1人、「夏までの成長が楽しみ」と期待したのが鳴門のエース冨田遼弥。初戦で大阪桐蔭に敗れたものの、強力打線を3失点(自責2)に抑えた。特に効果的だったのは、左腕から投じる右打者への内角球。コースギリギリにコントロールする直球と、膝元へ食い込むスライダーで大阪桐蔭を苦しめた。スカウトは「総合力が高い投手」と評した。
「大阪桐蔭打線は左投手に弱いという論調を見かけましたが、あの試合で見せた冨田投手の投球は大学や社会人でも手を焼きます。むしろ、3点を奪ったそつのない攻撃で大阪桐蔭の強さが際立つ試合でした。
冨田投手は打者の左右にかかわらず、直球を内外角に制球していました。スライダーとチェンジアップもキレとコントロールがあり、左投手の理想の投球でした。冨田投手は大阪桐蔭戦の投球をどのくらいの頻度でできるのか、調子が悪い時にどんな引き出しがあるのか、夏の甲子園では複数の試合で見てみたいです」
長期化する新型コロナウイルスの影響で、高校野球は対外試合が減っている。野球部の関係者以外は観戦できない試合もある。
プロ野球のスカウトにとって、選手の能力を見極める機会が大幅に減少する中、甲子園は原石を探す絶好の場。センバツで注目された選手たちはどれだけの成長を遂げて夏の聖地に帰ってくるのか。それとも、新たな才能が開花するのか。高校球児の4カ月間は、時にスカウトの想像を超える。
<ホームラン編に続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。