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甲子園の風BACK NUMBER
《スカウトが夏も見たい有望球児7人》「来年のドラ1候補」大阪桐蔭・前田悠伍、佐々木麟太郎の「2年生ビッグ4」など本音で評価
posted2022/04/05 11:02
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Nanae Suzuki/Hideki Sugiyama
3月31日に閉幕した選抜高校野球大会は、4年ぶりに優勝した大阪桐蔭の強さが際立つ大会となった。
大阪桐蔭は大勝した近江との決勝戦で4本のホームランを放ち、計4試合で11本のアーチ。桑田真澄さんや清原和博さんを擁した1984年のPL学園の8本を上回る大会新記録となった。投手力も安定し、4試合で6失点。投打で能力の高い選手が多い中、在京のプロ野球スカウトは特に2人の選手を評価した。
大阪桐蔭・前田悠伍に最も惹きつけられた理由
「今大会で最も惹きつけられた選手が、前田悠伍投手です。左腕で140kmを超える直球を投げていましたが、制球も抜群でした。打者の左右に関係なく、両サイドにボールを投げ分け、低めにコントロールしていました。
投球フォームがゆったりしているので、打者は実際の球速以上に直球のスピードを感じます。緩急をつけるカーブやチェンジアップを投げる時も、腕の振りが緩みません。大きく崩れない計算できる投手と言えます。順調にいけば、来年のドラフト1位候補でしょう」
捕手・松尾以上にスカウトの目を引いたのは?
今大会、大阪桐蔭の打線は切れ目なく、主軸以外からも長打が生まれた。11本のホームランは特定の打者に偏っておらず、7人がホームランを放っている。昨夏からの唯一のレギュラー、捕手の松尾汐恩が注目される中、スカウトの目を引いたのは別の選手だった。
「松尾選手の打力や肩の強さを見れば、プロ注目と言われるのはうなずけます。ただ、松尾選手以上にプロで活躍するイメージが膨らんだのは、海老根選手です。特に外野の守備。打球の判断が正確で、一歩目の速さに驚きました。足の速さを生かして無駄のない動きで打球の落下点に入り、ヒット性の当たりを難なく捕球していました。打撃は現時点でコースの得意、不得意があるように見えましたが、スイングスピードの速さは魅力です。運動能力の高さを感じました」
スカウトが評価したのはセンターの海老根優大である。
伸びるのか沈むのか、プロでも難しいと言われている正面のライナーも瞬時に軌道を見極めて捕球していた。
打撃では初戦は4番、3回戦以降は5番に座った。通算19打数8安打の打率.421、2本塁打、6打点。3-1で勝利した初戦の鳴門戦では、1ボール2ストライクと追い込まれながら外角の直球を逆らわずにライトへ運ぶ貴重なタイムリーを放った。3回戦の市立和歌山戦では外角低めのスライダーを左中間にホームラン。勝負強さや状況に応じた打撃が光った。