近江・山田陽翔は「打者」として伸びしろを感じるワケ

　大阪桐蔭は今大会、チームとして強烈な印象を残した。個人として高校野球ファンの心を動かし、記憶に刻まれた選手は近江の山田陽翔だろう。

　蓄積した疲労の影響もあって決勝の大阪桐蔭戦では3回途中4失点で降板したが、準決勝まで4試合を1人で投げ抜いた。準決勝の浦和学院戦では左足に死球を受けたにもかかわらず、足を引きずりながらマウンドに立ち、延長11回を投げ切った。

近江・山田　©Nanae Suzuki

　さらに打線でも4番に座る投打の中心であり、チームの象徴。スカウトが伸びしろを感じているのは打者としての能力。そして、観衆を引き込むスター性に楽天・田中将大の姿を重ね合わせる。

「山田選手の打者としての特徴はスイングスピードの速さとスイングの強さです。初球のカーブを強振して強烈な打球を飛ばした場面もありましたが、投手をやっているからか配球を読むのもうまい。

　そして、山田選手には観衆を惹きつける華があり、気持ちの強さもプロ向きと感じます。闘争心を出したプレーで仲間を鼓舞する一方で、頭の中は冷静。マウンドに立つ姿や球場の雰囲気を変える力に、楽天の田中将大投手が思い浮かびました」

広陵・内海優太は「稲葉篤紀、前田智徳に似ている」

　4カ月後に控える夏の甲子園で、もう一度見たい選手には他に3人の名前を挙げた。

　まずは、広陵の内海優太。今大会「2年生ビッグ4」と呼ばれた選手の1人、真鍋慧の前を打つ3番打者。巧打に長打力を兼ね備えた左打者だが、特にセンスが光ったのは内角への対応だった。

広陵の内海　©Kyodo News

「内角の厳しいコースをバットの芯に当ててヒットにしていました。指導を受けたり、練習を繰り返したりしても簡単には身に付かないセンス、感覚だと思います。ヤクルトや日本ハムで活躍した稲葉篤紀さん、元広島の前田智徳さんに似ています。内角に対応されると、攻め方が限られるバッテリーは配球面でも精神面でも追い込まれます。

　内海選手で気になったのは、甘いボールを見逃していたケースが何度かあったことです。カウントによっては球種やコースを絞るのは悪くありませんが、相手に警戒されたり、プロでプレーしたりすれば、失投の確率は低くなります。外角への対応も含めて夏までに修正できていれば、ドラフト上位候補になる可能性はあります」

悔しい思いをした佐々木麟太郎への評価は？

　話題となった「2年生ビッグ4」の中で、最も悔しい思いをしたのは花巻東の佐々木麟太郎だろう。

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