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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
プロ野球スカウトに聞いた「この春、一番見たい高校球児は?」 これが今秋ドラフト候補“10人の高校生投手”「オリックス宮城のような左腕も」
posted2022/04/29 17:03
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
KYODO
センバツ高校野球は、大阪桐蔭高の優勝で幕を閉じた。昨年は10月上旬に行われたドラフト会議……このタイミングで、今年の高校野球のドラフト候補「途中経過」として、投手・野手をそれぞれ10選手ずつ挙げてみた(野手編へ)。
まだ春先の時期ということで、今回はいわゆる「ランキング」ではない。全国から、これは!という選手を投打10選手ずつ挙げて、現時点でのプロフィールを紹介したい。シーズン初めのこの時点で、どのような投手たちが挙がるのか……北から1人ずつ検証していこう。
【投手編1】門別啓人(東海大札幌〔北海道〕・182cm85kg・左投左打)
昨年の北海高・木村大成投手(ソフトバンク・ドラフト3位指名)を、この30年の北海道高校野球でNo.1サウスポーと位置付けたら、その翌年に、その地位を更新しそうなサウスポーが現れるとは……。
昨秋、149キロまでアップした速球は、アベレージでも140キロ前半。スライダー、チェンジアップとの緩急も一級品で、見下ろしで投げる相手には快速球一本で奪三振の山。左腕独特のアンバランスさがかけらも見られない投球フォームやしなやかな腕の振り。打っても内角低めの難しいコースを右中間最深部に満塁弾……教えても身につけられない天性の才能をいくつも兼備して、この春の注目点は、強敵相手にどれだけ決然と腕を振って立ち向かっていけるか。
苫小牧中央高・斉藤優汰、知内高・坂本拓己、室蘭栄・住吉壮野に、センバツで進境を見せたクラーク国際・辻田旭輝……本格派の好素材だけでも、これだけいる。今年の「北海道」は忙しくなりそうだ。
【投手編2】田村朋輝(酒田南高〔山形〕・182cm76kg・右投右打)
昨年夏の甲子園予選、2つ3つは勝つとみて、そのあたりで見に行こうと思っていたら、初戦敗退と聞いて驚いた。見た人の話だと、スピードで圧倒しようと力任せの投球になり、制球に破綻があったとか。
それが「秋」に一変、強烈な腕の振りはそのままに、丁寧に落ち着いて投げても、気迫十分の投球でスピードは140キロ後半に達する。
先発・完投も抑えも、同点のロングリリーフもこなすオールマイティ。スライダー、カットボールに、沈む系はツーシームとスプリット。それぞれにしっかりしたラインを作りながら投げ分ける技術があるのも、高度なピッチングセンス。東北では、盛岡中央高・斎藤響介と並んで、無名の逸材として今春の再会が楽しみでならない。