甲子園の風BACK NUMBER
“強すぎる”大阪桐蔭は新1年生もスゴい! 中学通算50本の15歳スリランカ人が入学…憧れは森友哉、同級生は「すっごくいいやつ」
posted2022/04/04 06:00
text by
イワモトアキトAkito Iwamoto
photograph by
Akito Iwamoto
「英語が難しくて、結構焦りました。得意な数学で何とか……。合格と聞いて今はほっとしてます。楽しみです、甲子園のバッターボックス」
2月中旬、高校野球では言わずと知れた大阪桐蔭高校への進学が決まった。
身長180センチ、体重87キロ、ラマル・ギービン・ラタナヤケ、15歳。
名古屋生まれ名古屋育ちの野球少年は屈託のない笑顔を見せた。
スリランカ人の両親から授かった強靭な体と「和」の心。高校野球で活躍、そしてNPBへ。
「いつか日の丸を胸にプレーしたい」
まっすぐな瞳が見据える先には世界の舞台が広がっている。
「好きな選手は森友哉さん」
ラマルが金属バットを握ると、見慣れたバッターボックスが小さく見える。中学生離れした太ももはラガーマンようだ。その太さ約70センチ、どっしりとした構えから鋭いスイング、甲高い打音とともにボールが消えた。推定飛距離は140メートル。中学通算50本塁打は伊達じゃない。
「好きな選手は西武の森友哉さん。豪快なスイングがカッコいいなって。ちょっと真似しています」
バットをグローブに持ち替えれば最速135キロ超えのストレート。「投げる方はまだまだ、でももっとスピードは上がるはず。高校で体の使い方や投球術を学びたい。松坂大輔さんのような強気のピッチングができたらもっといいな」と期待に胸を躍らせる。
その言葉からは温厚な性格がにじむ。
「僕が打つ、僕が投げる。勝って喜び、負けて悔しがって、仲間と一緒に野球するのが楽しくて」
そんなラマルの周りにはいつもチームメイトの姿があった。誰もが「あいつすっごくいいやつだから」と口をそろえる。まわりに寄り添う気持ちと感謝の心を持つこと、それはスリランカから日本へ渡り、この地で生きることを選んだ両親からの大切な教えだ。