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《甲子園が落胆するほどの圧勝》大阪桐蔭は、高校野球史上最強のヒールなのか「勝って当たり前と思ってもらうのは…」 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/04/02 17:04

《甲子園が落胆するほどの圧勝》大阪桐蔭は、高校野球史上最強のヒールなのか「勝って当たり前と思ってもらうのは…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

甲子園で圧倒的な強さを見せ、春の頂点に立った大阪桐蔭。続くターゲットは同校3度目の春夏連覇となる

 大阪桐蔭は最後の最後まで隙を見せなかった。

 相手のエラーや四球で出塁したランナーを確実に得点につなげ、相手の戦意を喪失させるように点差を広げていく。8回には、この試合チーム4本目のスタンドインとなる谷口の満塁ホームランで18点目。桑田真澄さんや清原和博さんらを擁したPL学園が刻んだ大会記録8本を更新する、チーム11本目のホームランで締めくくった。ヒット数16本を上回る得点が、今大会の大阪桐蔭の攻撃を物語っている。

「プレッシャーを楽しみに変えて戦っていきたい」

 常に勝利を求められる宿命を背負う大阪桐蔭は、4年ぶりにセンバツ優勝を果たした。王者のプレッシャーにも、ヒール役を強いられたスタンドの逆風にも屈することはなかった。松尾が語る。

「勝って当たり前と思ってもらえるのはありがたいことです。プレッシャーを楽しみに変えて戦っていきたいと思っています。自分たちの戦いに集中していたので、近江の応援は何も感じませんでした」

 センバツで頂に立った西谷監督は、すでに次の山を見上げている。

「優勝したことで、他のチームは打倒・大阪桐蔭で挑んできます。大阪は簡単に勝てるところではありません。春と夏は違う山なので、早く春の山を下りて夏の山を登っていくことが大事だと思っています。他のチームは夏の山を登り始めていますから」

 見据えるのは夏の頂点。最強のヒールは聖地の舞台で主役を譲るつもりはない。<近江編に続く>

#2に続く
“投手分業制”で強豪に育てた監督の信念すら…近江・山田陽翔は“賛否とは別次元の男”「『エースで4番でキャプテン』だと自覚している」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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