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「ポイチ、お前のことを信じているヤツいるから」批判された森保監督に岡田武史が送ったシンプルなアドバイス「結局、誰が責任取るのって…」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2022/03/29 17:02
3月24日のオーストラリア戦を2-0で勝利し、カタールW杯出場を決めた森保一監督
「彼(森保)が堰を切ったように長い文面を送ってきてね」
新スタジアムとFC今治についてのインタビューを終えた後、今の日本代表と森保一監督についてどうしても聞いておきたいことがあった。日本代表は昨年10月、アウェーでサウジアラビアに負けて痛恨の2敗目を喫した後、システムを4-3-3に切り替えたホームのオーストラリア戦を2-1で勝利して息を吹き返した。岡田はいつだったか、DAZNの解説で「一番のヤマ場を乗り越えた」と語っていた。徳俵に足が掛かっている状態は続くものの“岡田理論”で言えば、ワールドカップに一気に近づく勝利となった。
勝てば7大会連続出場が決まるアウェー、オーストラリア戦。その10日前、「もちろんアジア予選というものは何が起こるか分からない」と前置きした後で岡田はすぐに言葉をつないだ。
「10月のオーストラリア戦の後に森保とメールのやり取りをしたんだよ。彼が堰を切ったように長い文面を送ってきてね。相当に苦しかったんだと思ったよ。森保はきっと最大のヤマ場だと踏んでいたに違いなかったし、その大勝負に勝ったということ。彼自身もチームもあの試合を経てガッと成長したなと感じた。だから次のオーストラリア戦、簡単じゃないとは思うけどそれほど心配していないんだよ」
日本代表監督という重責を担い、表現もできないほどのプレッシャーにさらされてきたものだから分かる感覚なのかもしれない。
「ポイチ、お前のことを信じているヤツいるから」
日本代表の先輩として、日本代表監督の先輩として、気には掛けていた。しかしながらマネジメントのこと、ピッチ上の戦術のことは本人から求められない以上は口出ししなかった。外部にいる自分がとやかく言う必要はなかった。
数少ないアドバイスは、実にシンプルだった。
「ポイチ、心配するな。お前のことを信じているヤツいるから。味方がいるから」
岡田にも心強い味方がいた。その一人が日本代表の先輩、そして日本代表監督の先輩でもある横山謙三だった。
胸に宿していたエピソードを明かしてくれた。