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10年前、大谷翔平と藤浪晋太郎がセンバツで対決した日…いま振り返る“2人の怪物が語っていた夢”とは「世界レベルで活躍する選手に」「メジャーに興味はない」
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKYODO
posted2022/03/30 17:02
2012年センバツで実現した大阪桐蔭対花巻東。ランナーとして生還しガッツポーズの大谷翔平と、投手の藤浪晋太郎
「僕はピッチャーがやりたくて野球を始めました。野手として何かを求めてきたわけではありません。160kmを目標にしたのは、ピッチャーとして常識を覆したいという想いがあったから。160kmを出せば、また次にそれ以上を目指す人も増えてくる。目標のレベルが高くなれば、野球のレベルが高くなると思うんです。野茂さんやダルビッシュさんがアメリカで結果を残して、日本人の目標のレベルが変わりました。自分も目標とされるように、世界レベルで活躍する選手になりたい」
大谷が10月25日を待たずしてメジャー挑戦を決断するのか、本稿の締切時点では発表されていない(編注:大谷は日本ハム、藤浪は阪神にそれぞれドラフト1位で入団)。だが、「今か後になるかは分からないけど、メジャーでやりたい」という彼の視線が世界に向けられていることは確かだ。
あの一戦を境に、2人は…
大谷のメジャー志向は、藤浪には分からない領域だという。現実的で地道に階段を昇っていく藤浪らしい夢の描き方がある。
「僕は今のところ、メジャーに興味はない。ただ、ダルビッシュさんが高校の時はメジャーに興味がないと言っていたみたいに、日本で野球を極めてしまうと物足りなくなるのかなとは思います。でも、それは、そこまでのレベルに行けたらの話です。常に、向上心をもつこと、課題を見つけることを忘れずにいたい。WBCやオールスター、世間から見て誰もが認めるような、この選手はすごいなと思ってもらえるような選手になりたい」
運命に導かれるかのようにセンバツでぶつかった2人は、あの一戦を境に、それぞれの道を歩もうとしている。
甲子園春夏連覇を果たし、高校球界の王道を駆け抜け、日本のプロ野球へ飛び込もうとしている藤浪晋太郎。
片や最速160kmというとてつもない偉業を達成し、メジャーヘの想いを堂々と口にする大谷翔平。
2012年は特別な年だ。
彼らの行く末が決まる、運命の日「ドラフト」が迫るにつけ、そんな想いが募る。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。