今後の目標を聞くと、人懐こい笑顔は消え、真剣な表情になる。

「今は元選手というところをうまく球団から使っていただいている立場です。そういう自分の賞味期限を延ばしつつ、さっきも言ったんですけど早く元選手という看板が取れて、もう、ちゃんと自分の業務を全うしたいです。あと事業側の人間になって、選手のセカンドキャリアっていうものにすごく関心を持つようになりました。

　選手出身の人は、どうしても子供たちを教えたりするアカデミー業務に携わることが多いですよね。でも、球団の内部には、選手としての価値を高めてくれた部署がこんなにたくさんあって、いろいろな仕事があるんだということを知って、指導者以外の仕事にももっと元選手が関われたらいいなと思うようになりました」

　選手は選手として素晴らしいプレーでファンを増やし、観客を動員する。運営側は運営側で、そんな選手が輝く場所を提供する。球団にとってチーム強化と運営は両輪で、どちらが欠けても前に進めない。運営側が担う仕事の大切さを、選手には現役の間にもっと知ってほしいと谷口氏は考えるようになった。

「私がこの3カ月で知ったことを、必ず選手にも還元したいなと思っています。現役の間は、本来は全くそういうことを考えずに野球にまい進してほしいという気持ちもあります。でも選手と事業部側は持ちつ持たれつの関係だということも知ってほしい。矛盾しているようで難しいのですが（苦笑）。いざセカンドキャリアをどうするという話になったときに、子供たちを教える仕事だけではなくて、本当に様々な可能性があることは知っていてほしいですね。“谷口にこんなことができるんだったら、他の選手もできるんじゃないか”という前例になりたいです」

野球ファンとして、ワクワクする

　最後に企画PR担当として、新球場で最もアピールしたいことを尋ねると、

「球場はもちろんなのですが、どちらかというとやはりボールパークとして、周辺の設備などを見てほしいですね。ここ数日、北海道の天気も良くて、工事現場に行くと完成予想図が思い浮かべられるような景色が見られるんです。やはりワクワクしますよ。これからは、どんどん球場内のテナントなども決まって、より具体的な発表ができると考えています。携わる者として以上に、いち野球ファン、ファイターズファンとして楽しみです」

　来年3月に完成する新球場とともに、PR担当としての谷口氏の成長と奮闘にも注目したい。

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